2001年10月2日 別の角度から見たパレスチナ情勢


イスラエル・コメンタリー
2001年10月2日

 現在、三宅さんはイスラエルを離れ、故郷日本に一時滞在される予定になっていると思います。そこで、この場を借りて、あるクリスチャンの手記の一部を転載いたします。一般のマスコミ報道と、現地のイスラエルから流れる情報がなぜここまで異なっているかを知るきっかけになるかと思います。(きよきよ記)

 以下は、「つのぶえ」10月号に掲載されていた、木下千尋さんの「イスラエル日記 (1)モシャブの生活」からの抜粋です。モシャブとは、「キブツ」とほぼ同じような共同生活体です。(転載については、中川健一氏から許可を得ています。)


■別の角度から見たパレスチナ情勢

 モシャブには、ボランティアとは別にメンバーの人々が住んでいます。メンバーの中には兵役についている人も数人いますが、彼らの話には常に驚かされます。日本で聞くパレスチナ情勢とはあまりにもかけ離れているからです。部隊長の地位を持つあるメンバーから、次のような話を聞きました。

 「報道記者たちは、ガザ地区やヨルダン川西岸に勤務するイスラエル兵の見回り時間を知っていて、その時間が来るとカメラを構える。さらに、そこに住むパレスチナ人は、報道記者がカメラを構える時間を知っていて、その時間が来ると石を投げる。・・・そこは最も衝突が起きやすい場所でも、報道記者たちがお昼休みを取る時間には、一時的な平和が訪れる。」

 先日、彼が指揮する部隊とパレスチナ人との間に衝突があったそうです。300人以上のパレスチナ人の子供たちが、1キロ四方の範囲からいっせいにイスラエル兵に向かって投石してきました。投石といっても、カメラに映る「前線」にいる子供たちだけが素手で石を投げて、その後ろに控えている子供たちは、ダビデがゴリアテに対して使った「石投げ」を携帯していたそうです。それを使えば、300メートル先にいる兵士にも重症を負わせることができるとのことです。子供たちの背後には、それを指揮する数人の大人がいつのが常です。この場合も、彼の部隊の狙撃兵が大人たちの足を打ち抜いた瞬間、「衝突」は終わったそうです。このように、大人たちは子供たちを利用しているのですが、同時に、衝突の際に補導され釈放された子供たちは、学校で「英雄」扱いされるそうです。「本当の平和は、イエス・キリストなしでは訪れない。」と語った彼の顔には、憂鬱と確信が混じっていました。その表情が、すごく印象的でした。


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