2001年9月1日 アラブ人に対するテロ/パレスチナ人と親交を持つユダヤ人



イスラエル・ニュース
2001年9月1日


 先日、悲しむべき事件が、ニュースで流されていました。それは、アラブ人青年、カイダ・ゲドゥア・カアンさん26才が、車を運転中に銃撃され、殺されるという事件が起こりました。その銃撃のため、コントロールを失った車は道を外れ、斜面に下り落ちていきました。同乗していた彼の父親と兄弟は、共にハダサ病院に運ばれ、治療を受けています。警察は、まだ、犯人について調査中ですが、これは、ユダヤ人の極右翼グループによって、なされたものであろうと信じられています。

 この事件について、ユダヤ、サマリヤ、ガザのユダヤ委員会は、直ちに、この野蛮な行為に対して非難し、声明を出しています。「殺人は殺人である。われわれは、罪もない人に対してなされる、そのようなすべての犯罪行為を非難する。速やかに調査され、そのような悪を行う者どもが、裁きの場に引き出されることを求める。」

 私は、テレビのニュースで、その模様を見ていました。そのアラブ青年が、車の運転席で前屈みに倒れている姿、また、そこから引き出されてタンカーに乗せられる姿を見て、そのような行為をした者たちに対して、激しい憤りを覚えました。

 イスラエル政府は、市民に自制を強く求めていますが、しかし、そのような悲しむべき、ユダヤ人テロによる事件は、すでに4度目となりました。8月16日、タクシーの運転手カマル・サイド・ムサレムさんが、運転中、投石により死亡しました。また、7月19日、犯人は、未だに不明ですが、トメイジ家族が銃撃に遇い、三人が殺されるという事件が起こりました。その内のひとりは、6ヵ月の赤ちゃんでした。そして、6月13日にも、アラブのトラック運転手が、殺されるという事件がありました。

 このような無差別な殺人行為は、まことに憎むべきことであり、許されざる行為です。インティファーダーが起こってから、双方の間において、憎しみが増し加わっています。


 しかし、そのような中にあって、昨日、ひとつの事件が起こりました。

 モディイーンに住む60才の男性、アモス・タジョウリさんが、パレスティナ人の友人たちと共に、ナアリンというパレスティナの村にあるレストランで朝食を取っているときに、突然、覆面をした男が現れ、アモスさんを外に連れ出し、彼の頭部に2発の銃弾を撃ち込みました。それを見たレストラン経営者は、直ちに、犯人を追いかけ、椅子を投げつけました。そして、逃走する犯人は、銃を彼に向けて撃ちましたが、幸い弾は外れ、大事にいたらずにすみました。

 ユダヤ人のアモスさんは、その村にいるパレスティナ人たちと親しくしており、しばしば、そのレストランを訪れて、その村の友人たちと食事を共にしていました。また、彼はそのレストランの主人に、経済的な援助をし、そのレストランを建てる時にも、彼がそのお金を出し、また、その後も、援助を続けていました。

 テレビで、このニュースが流されていたとき、幾人かのパレスティナ人の女性、また、青年が、現場で地にうずくまって泣いている姿を見、心を打たれました。

 ユダヤ人とパレスティナ人との関係において、単に、憎しみの関係ではなく、このように心の通う関係があるという事、また、そのことが可能であるということを見て、この暗黒の状態の中で、ひとつの小さな光を見る思いがしました。

三宅弘之 

(情報源:イスラエル テレビ ニュース、各新聞 ハ・アーレツ、エルサレム・ポスト、イディヨート・アハロノート)


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