2003年8月11日 イスラエルを訪れるスーパーマン


イスラエル・レポート
8月上旬


1.スーパーマンがイスラエル来訪

 スーパーマンことクリストファー・リーヴス氏が、ビジネスクラスの席を取り払い、彼のために特別に仕立てられた飛行機に乗ってイスラエルを訪問。それは、ワイツマン研究所にある脊髄損傷治療研究チームに会い、研究を視察すると共にテロの被害者に会うためである。

クリストファー・リーヴス氏とエラッド・ワッサさん

 1995年に乗馬事故により不随となり、俳優として復帰することは不可能と思われていたが、彼は現状を生かした役柄をこなし、俳優として、またディレクターとして活動を継続した。

 自爆テロの被害を受け、腰から下が不随となったエチオピヤからの移民、エラッド・ワッサさん25歳は、『イスラエルへ、ようこそ!あなたは私のヒーローです。』と記者会見のステージでリーヴス氏に賛辞を送った。

 その記者会見の席でリーヴス氏は、『私の大きな驚きは、イスラエルは暖かく、リラックスできるところであるということだ。イスラエルに来ることを恐れはしなかった。メディアで取り上げられるのはおぞましいテロやその被害状況といった場面だ。しかし、私たちが見ない部分、それは、普通の日常生活が営まれているということである。世界にそのことが知らされなければならない。』と語った。


2.フェイク(贋物)

 近年、ヨアシ王の神殿の修繕に関する碑文が刻まれた石版とイエスの兄弟ヤコブの骨箱が発見されたというニュースがちまた巷を沸かせた。

 しかし、イスラエルの古代遺物の権威筋による入念な調査により、それらのものが贋物であることが確認された。刻まれた文字は、石灰岩の古色の中に切り込まれており、誰かが古代の石灰岩の骨箱に古代文字を真似て書き込んだことが証明された。

 また、ヨアシ王の碑文も人工的に合成されたチョークを使っていることが明らかになり、碑文の内容も現代へブル語的なニュアンスがあることが明らかになった。

 この二つの遺物は、骨董品販売を営むオデッド・ゴラン氏の所有で、彼の家屋から手の込んだ贋作製作所が発見され、御用となった。

 その逮捕劇は、イエスの兄弟ヤコブの骨箱に関するドキュメンタリー映画がイスラエルで上映されているおりであった。


3.ワシントンでの三者個別会談

会談後の記者会見でシャロン氏が原稿を見失ったところをブッシュ大統領が助け、「だからあなたの助けが必要なんですよ。」とシャロン首相が答えたときの二人の和やかな笑顔。

 ブッシュ大統領、パレスティナ自治政府アッバス首相、そして、イスラエルのシャロン首相の三者個別会談が、7月末のアッバス氏のワシントン訪問で始まった。アッバス氏は、パレスティナ人の生活向上のために、西岸地区、ガザ地区に設けられた閉鎖の解除、イスラエル軍のパレスティナ区域からの撤退、さらに防御フェンス建設の中止、アラファト議長の解放、パレスティナ人囚人の釈放などを訴えた。会談後、ブッシュ大統領は、そのアッバス氏の要請を受けて、イスラエル側に閉鎖の解除とパレスティナ人の自治を進めること、またパレスティナ人囚人の釈放に更なる努力を示すことを求めると共に、防御フェンス建設に関して「問題である」と発言した。

 しかし、アッバス氏のワシントン訪問に続き、シャロン首相もワシントン入りし、ブッシュ大統領と会談を行った。ブッシュ大統領は、軍の一部撤退、閉鎖の解除など、イスラエル側の努力を評価し、防御フェンスの建設に関しても、政治的な意味ではなく、治安維持のためであるとのイスラエル側の訴えに理解を示した。また、パレスティナ側の強い要請であった、アラファト議長の自由に関しては一切触れられなかった。そして、パレスティナ人テロ組織の解体、不法に所持されている武器の回収をパレスティナ自治政府側に求めた。これは、パレスティナ自治政府の、休戦、破格値での武器の買戻しなどのパレスティナ人テロリストに対する懐柔政策が、不十分であるとのアメリカの態度を明確に示したものである。

 このブッシュ大統領の発言を受けて、パレスティナ自治政府の重鎮の一人、サエブ・エレカット氏は大きな不満を漏らし、ハマスリーダーのランティシ氏は、アメリカを非難すると共にアッバス首相の完全な敗北であると非難した。


4.出バビロン

 紀元前586年のバビロン捕囚以降、バビロン(現イラクの地域)でユダヤ人のコミュニティーが栄え、後にはユダヤ教の一中心地となって、タルムード(バビロンとエルサレム・タルムードの二つがある)が編纂された。しかし、現在ではわずかに34名が残るのみとなった。

 イラク戦争後、ユダヤ機関(the Jewish Agency)とヘブル移民援助組織(the Hebrew Immigrant Aid Society)両団体の働きにより、6人のイラク在住のユダヤ人がアリヤー(イスラエルに上るの意で、イスラエルに移民することをさす言葉)をした。


5.パレスティナ囚人釈放

 イスラエルに投獄されているパレスティナ人の囚人6千人あまりのうち334人が第一弾として釈放された。パレスティナ人の囚人解放は、和平工程表には求められていない。それは、ハマスなどのテロ組織が3ヶ月の休戦の条件として提示したものである。


三宅弘之
LCJE海外協力レポーター

(ハ・アーレツ、エルサレム・ポスト、マアリーブ、ICEJ、イスラエル テレビ・ラジオ ニュースなど)



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