2005年3月第四週(PDFファイル)

 2005年3月第三週(PDFファイル)


イスラエル・レポート

2005年3月第1週

 
1.パレスチナ自治政府の新内閣

 パレスチナ新内閣の人選を巡って紛糾が生じていた。先にクレイ首相が提出した人選では、アラファト時代からの古参で、汚職イメージの顔ぶれとなっていたため、パレスチナ立法評議会で否決された。そこで新たな人選となったわけだが、今回は24名の閣僚のうち17名が新しい顔ぶれとなり、賛成54、反対12、棄権4で承認された。

サラム・ファヤッド モハメッド・ダーラン クレイ首相(右)と ナセル・ユセフ(左) ナビル・シャアス


 外務大臣に前国連代表でアラファト前議長の甥にあたるナセル・アル・キドヴァが、また国内の保安において重要な役職となる内務大臣にナセル・ユセフ元将軍とそれを助ける役職として、アッバス議長の忠臣モハメッド・ダーランが国事担当大臣となる。大蔵大臣として、経済の内部改革に着手し、良い評価を得ているサラム・ファヤッドが継続してその役職に就く。

 そして、クレイ首相は、アラファト時代からのメンバーとして、元外務大臣のナビル・シャアスを副首相、兼情報相に任命した。しかし、交渉担当として任命されていたサエブ・エレカットをはじめ、7名のアラファトの忠臣たちが閣僚リストからもれることになった。


2.ハーグ国際法廷の裁定は不適切

 イスラエルの検察当局は、ハーグ国際法廷でイスラエルの防護フェンスに関して開かれた裁判について、誤った資料に基づいて裁定がなされたとの見解を示した。ハーグ国際法廷では、イスラエル側が西岸地区の16%を自国領として併合してしまうとの想定に基づいて判決を下したが、実際はイスラエル司法長官によって認定されたルートでは、僅かに3.3%に止まる。そのルートには、問題のアリエル、マアレ・アドミーム、それにグシュ・エチィオンなどは含まれておらず、個々に交渉によって、定められるものとされている。

 ハーグ裁定では、防護フェンスの建設は国際法違反であるとの見解が出されたが、先のような理由により、不適切な裁定であると結論付けられる。

3.和平ムードを揺るがす自爆テロ

 暖かい金曜のテルアビブの夜、多くの若者たちが、外に出てカフェやクラブにたむろしていたとき、海浜遊歩道の近くにあるクラブで、突然、大爆発が起こった。それは、エジプトのシャルムエルシェイクでの停戦合意から僅か2週間余りで起こったテロ事件である。この自爆テロにより、4人が殺害され、50人余りが負傷した。

 アッバス議長は、この出来事をテロ行為と表現し、このテロに関わったものたちを裁きに処することを誓った。イスラエル側は、現時点では軍事的な応酬を控え、むしろ政治的な圧力をシリアとパレスチナ自治政府にかける方針である。ダマスカスを拠点とするイスラム聖戦が犯行声明を出したが、シリアやイランがそうしたテロ組織を支援している。また、パレスチナ自治政府は今までテロ組織に対して、懐柔政策を取ってきたが、今回の自爆テロ事件で、テロ武装組織に対してもっと確固たる対策を講じることを迫られることになる。

三宅弘之
LCJE海外協力レポーター



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