石ばし庵 − たえこの徒然草
私たち夫婦にちょっとした隠れ家がある。つまらぬことで忙しかったり、とにかく二人にしとい
て、と思う時良く行く場所だ。清貧な牧師先生様なら、断食祈祷院(ご飯が出ない、ひたすら静かにお祈りするための宿泊施設)なのでしょうが、おいしいものも食べたいし、暖かいお風呂にも入りたいし・・・という私たちの贅沢な願いがかなうバッチ・グーな所なのだ。
その隠れ家は伊豆高原にある。伊豆高原というとアーチストが集まるおしゃれな場所が想像に難くないが、風景はどちらかというと「日本昔話」にぴったり。田舎のない私には、ここが故郷なのかもしれない。駅から車で10分程度。建物自体は田舎の居住地にあるが、5分も歩けば田んぼや山林が広がる。稲刈りのときは、鳥を恐がらせるために、定期的に爆発音が鳴り響くのでうるさいが、その他の時期は都会の喧騒から離れることが出来る。ハイキング気分で山道を行くと、あちこちにわさび畑が広がる。水も豊富で、湧き水と思しききれいな水を満々とたたえている。実は、我が家のカ
ブトムシはここら辺の畑から取って来たカブトムシに由来する。今回は冬だったが、極端に寒くもなく、ちょうどハイキングにはぴったりの温度。初夏なら森林浴が楽しめる。嬉しいのは、人がほとんどいないこと。観光地だと、とにかく人が多いけれど、2月はじめの日曜や平日は人影がまばら。行き交う人は現地の人で、旅人は我々だけ。
山歩きに疲れたら、戻ってお風呂。大きなヒノキのお風呂が、程よい香りを放ってくれる。自分の家の風呂は、他のおうちに比べれば比較的広い浴槽なのだが、それでも完全に手足を伸ばして入れるお風呂は嬉しい。どうも温泉ではないらしいのだが、いつでも入浴自由なら不満はない。長風呂をするとのぼせてしまう私でも、このお風呂はゆっくり楽しみたいお風呂だ。浮世の垢を落とすのには、いい場所だ。
次のお楽しみはお食事。さすが伊豆高原だけあって、宿屋の主人は、かなりのアーチスト。ふすまや額縁には、ご主人の絵が飾られている。食器も多くはご主人手ずからの焼き物だ。男が料理をするからには、素材には大いにこだわっている。自家製の野菜や米、お茶まで自家製だ。ともかく、ここの売りは何と言っても、豆腐料理。手作り
豆腐は、何もかけずにそのままが美味。湯葉ステーキもあっさりとしておいしい。海に近いので、お魚料理も出てそれもおいしいし・・・。何よりも新米がおいしい。ただ、今回はご飯ではなく、おそばが出た。十割蕎麦だった。ご主人かなりこだわって、そば粉をどこかから仕入れてきたらしい。暖かいお部屋で、ざるそばもまたおいしい。う〜ん、こんなに食べたら、もう動けな〜い!と、夫婦二人で、ホットカーペットの上で、しばし休憩。時がゆっくりと流れていく。
お腹もいっぱいになり、部屋に引き上げるため外に出ると、夜空は満天の星。東京ではこんなに星は見えない。部屋に戻って、またお風呂、お風呂に飽きたら、二人でお話。部屋に時計がないし、テレビがない。だから、時間を忘れて、話が出来る。話し好きの二人だから、いつまででも話せる。ただ、今回携帯をONにしていたため、邪魔が入ってしまった。(みなさん、こんな機会はあまりないのですから、携帯電話はOFFにしておきましょう。)そして、就寝。高速道路直下に住む、不眠症に悩む私にとって、こんなに静かな、トラックに起こされることのない夜はほんとうに貴重な夜なのです。
快眠!の後のお目覚め。今日ぐらいラジオのハングル講座を休めばいいのに、7時5分になると携帯ラジオでやっぱり聞いてしまった。(何せ、貧乏性なもんで。)出張に行っても、旅をしても、日本にいる限りは、NHKを傍受できてしまうので、やっぱり聞いてしまいました。その間、主人は近所をお散歩。そして、身支度が出来ると、朝ごはんコール。
朝ごはんも、なかなかなものだ。朝ごはんの売りは、産み立て生卵。ご主人の家では、鶏を飼っている。コレステロールが気になって、卵はほとんど食べないけれど、ここの卵なら解禁!久しぶりの朝ごはん(家にいると大抵パンになってしまうので)。おいしい!梅干も自家製だ。お味噌汁もおいしい。この時ほど、日本人に生まれて幸せと思える時はない。
実は、宿屋のご主人に、ホームページで宿屋の宣伝をしてあげると約束した。ただ、こんな説明では、たいした宣伝にはならないかもしれない。しかし、一つはっきりいえる事は、私は一度行ったところには、よっぽどの用事でもない限り二度と行きたがらないのに、ここには何度も来ていること。ここは、例外中の例外で、リピーターをしている。それだけ私が気に入っていることをご主人がわかってくれたら、それで十分じゃないかと思っている。
石ばし庵のホームページはこちら!