イスラエル旅行記その3 − 食べ物事情

 宿泊事情のところで少し言及したが、イスラエルには宗教上食物規定がある。その一つが、肉と乳製品をいっしょに食べないこと。
 
 ホテルの朝食には肉は一切出ない。魚とチーズ、卵料理はふんだんに出る。このため、コーヒー紅茶は用意されている。
 
 イスラエルの食事は中東と地中海料理のあいのこって感じ。サラダにはフレッシュな(乾燥ではない)スパイスがふんだんに使われている。パセリは、においは同じだが、葉は日本のより大きめ。かなり使われている量が多いので、苦手な人がいるかも。それから香菜は東南アジア系料理に主に使われるのかと思ったら、イスラエルでもサラダの多くに香菜が使われている。慣れると、まあそんなもん、なのだが、においに癖があって、最初はとっつきにくいかも。この他にも、バジルやミントなど日本では手に入りにくい(入っても高い)香料が惜しげもなく使われていて贅沢。サラダは本当に種類が豊富だが、酸味がかなりきいているものが多い。すっぱいのが嫌いな人はつらいかも。おそらくレモン(柑橘系の果物)やヨーグルトが使われているのだろう。ちなみに、マヨネーズは使われていないような気がした。

 この他にもオリーブやオリーブ油もふんだんに使われている。さらに、ドライフルーツ、種々のナッツ類とかなりおしゃれ。女性ならきっと気に入るはず。

 ちょっと変り種では、豆類も豊富。特にヒヨコマメのペースト状のものが何種類か出されていた。私はオリーブ油が少ない種類のをカナッペにしたり、マーガリンの代わりにパンにつけて食べたりした。この他にも、レンズマメや白豆などもサラダになっていた。

 魚もサラダの中に。塩漬けいわし(生っぽい)が入っているのもあったし、塩漬けサーモン(生っぽい)が入っているのもあった。ただし、かなり塩辛い。塩辛いと言えば、オリーブが入っている料理やチーズが入っている料理も塩辛い。おいしいのだが、塩分の取りすぎには注意が必要だ。おっと、これは関西人の舌が塩辛いと言っているだけで、東北人ならノー・プロブレムかも。

 次にホテルの夕食。白身の魚(ガリラヤ湖で「St. Peter's fish (マトウダイ)」というのがとれます)のムニエルにレモンをたっぷり絞りかけていただくのがとても贅沢。グリルされたチキンなど、チキン料理はモイストで実に美味。牛肉も出ますが、食物規定で血を食べてはいけないからなのか、パサパサでいまいち。当然、豚肉は不浄の動物なので、一切出ない。しかし、これだけいろいろな食べ物が有れば、別にここでわざわざ豚のしょうが焼きやとんかつを食べようという気にはならないので、心配ない。そうそう、私は食べなかったが、ラム肉もあった。

 デザートは豪華。フルーツはスイカやメロン、葡萄、もも、りんごなどなど。焼き菓子はかなり甘い。蜂蜜がたっぷりかかっているものとか、メープルシロップがかかっているものとか。それと、ムースの種類が多い。個人的には、ムースはもったりしていてあまり好きではないが、チョコレートムースは別格だったかも。チョコが好きな人は、試してみる価値あり。

 昼食は当然出先で食べることになる。今回のツアーでは、キブツの中のレストランに行くことが多かった。メインディッシュの料理を頼むとサラダもスープもパンもデザートも付いて12〜3ドル程度。しかし、朝食も夕食もバイキングでかなり食べているので、昼にこんなに食べたら、メタボになってくださいといっているようなもの。大皿のサラダなら7〜8ドルで食べられる。最初は一人ずつ頼んでいたが、量が多いので、旅の最後の方は、一皿を二人で食べた。それでも十分。

 飲み物は別払い。これがなかなか高い。コーラやミネラルウォター、コーヒーも7〜12NIS(220円〜350円)。無料の水がおいてあるところもあるので、節約したいなら、水でがまん、という手もある。

 ランチを安く上げる一つの手はファラフェルというピタ・パンの中にヒヨコマメを揚げたものともろもろの野菜が入っているサンドイッチみたいなものを食べること。フライドポテトが上にのっているのもあるので、かなりのボリューム。ベジタリアンのファラフェルは、一つ13〜18NIS(380円〜500円)。お肉が入っているのは数シェケル高くなる。ファラフェルを食べると、無性に炭酸飲料が欲しくなる。しかし、炭酸飲料類は、軒並み最低7NIS(220円)はする。我々は貧乏旅なので、350ml缶の炭酸飲料を二人で半分こして飲んで、足りなければ、持参の水を飲んだ。

 ところで、イスラエルでマクドナルドはやめといた方が賢明。エイラットからエルサレムまでの長距離バスの休憩所にマクドナルドがあった。イスラエルに入って初めての食事。何を頼めばよいか分からないので、バスの乗客の大半が流れていったマクドナルドに我々も入った。これがファーストフードならぬ完全なスローフード。もちろん外人があれこれ注文するから時間がかかるのだろうが、それにしてもやっぱり遅い。この休憩は、20分休憩のはずが少なくとも40分休憩にはなったはず。

 ビッグマックセットに追加のビッグマックを付けただけで、日本円で1,400円近くした。馬鹿高い。しかし、ようやく食糧にありつけたと喜んだのもつかの間・・・あれっ?ビッグマックってこんな味だったっけ?ビッグマックにチーズが無い。タルタルソース風味のソースも入ってない。しかも、ハンバーガーの肉がパサパサ。これはすべて食物規定のなせる業なのであった。