神の名は・・・ 2003/03/20

これは、「神の名は、あなたがたのゆえに、異邦人の中でけがされている。」と書いてあるとおりです。 ローマ人への手紙2:24

 パウロは、自分たちが神の律法を知っていると自負しているユダヤ人教師たちが、自分が教えていることを行なっていない、してはいけないと教えていることを自分自身で行なっていると言って、彼らを叱責した。そして、教師たちのその行ないによって、神のことを知らない異邦人たちが、ばかにしている、というのが、上の聖書箇所だ。クリスチャンに当てはめるには、「なんだこいつら。これでもクリスチャンなの?」とあきれ返られていることに匹敵する。

 第一コリントには、私たちは愚か者であり、神が賢い者を愚かにするために愚かな者を選ばれた、とある(1:27)。パウロは、自分自身はガマリエルから学んだ、すぐれた律法学者であったが、けれども、キリストを知ったことのゆえにそれらを損と考え、その知識には拠り頼まなかった(ピリピ3:7)。しかし、コリント人たちは、自分たちをいくらかでも賢いと考えていた。そこで、彼らがいかに愚かであるかをはっきりと言っている。

 ある精神医学専門の方が、以前、クリスチャンが取り入れる心理学や精神医学の療法は、世が行なっているものよりも、10年は遅れている。クリスチャンが行なっているのを見て、危なっかしくて見てられないと仰っていた。クリスチャンの中では、あたかも進んだ知識のように見え、世の流れに後れないように頑張ったりするのだが、実は愚かしいことを行なっているのである。世の流れに後れないようにクリスチャンが頑張っているときは、すでに時代遅れになっている。

 私は特に専門知識はないが、普通に生きる一般人として、世界で起きていることにも耳を傾ける。そして、多くの人たちが感じていることも、私も人間であるから当然感じている。その一つに、「反戦」や「平和主義」についての疑念がある。

 以前、他のところにも書いたが、9月11日の米同時多発テロが起こった後に、あるクリスチャンの掲示板で、「テロリストには花束を」という題名の投稿がなされた。その記事の内容は、実はキリスト教系の新聞にも後に掲載された。けれども、クリスチャンでない人があきれかえって、こう書いたのだ。「あなたたち、本気でテロリストに花束あげれば、解決すると思っているの?世界貿易センターで死んだ人たちの、残された家族の人たちのことを本当に思っているの?自分の家族がストーカーに遭って、殺されても、裁判で訴えないんですか?この掲示板で、意見が違う人を受け入れられないのに、なにがテロリストに花束よ!」というような内容であった。フツーに考えれば当たり前のことである。目の前にいる、自分の考えと相容れない人を受け入れること、いっしょに動いていくことさえできないのに、遠くにいるアメリカの人には、「敵を愛して、赦しなさい!」と叫べる、その偽善に怒ったのである。

 このようにして、不信者の中でキリストの名が汚されているのである。今、受け取った、ネットで親しくしているクリスチャンではない方から以下のような内容のメールを受け取った。「○×というハンドルの人からメールを受け取りました。私のサイトを見ての感想ということでしたが、中の記事を、絶対読んでいないと思います。最初は、なぜ自爆テロは終わらないのかというので説明しましたが、『地球がひとつになり、軍隊が国連軍だけになれば、戦争もなくなり、軍事費もほとんどかからなくなる』というのです。人間が武器を持たなくなればよいのだと書いていました。僕はもうばかばかしくなり、自分が言わねばならないことだけ書いて、あとは無視です。しばらくして、『なぜお返事がこないのか』とのメールをよこしましたが、僕は返事する気はありません。その人はクリスチャンらしいですが、同じクリスチャンでも理解力の程度はピンキリですね。あの人は幼稚園児並みです。ばかばかしくて話になりません。」

 お分かりいただけるだろうか、あまりにも馬鹿ばかしいのである。私たちが、イエスが神の御子であり、この方が私たちの罪のために死に、三日目によみがえられた。そして再び戻ってきてくださる、と言って、「あまりも馬鹿ばかしい」と言われるなら、それこそハレルヤ!であるが、ここでは違うのである。あまりにもの幼児思考にあきれかえられているのである。(軍事をすべて国連軍にまかせるというのは、まさに軍事にたよった世界政府、反キリスト体制のことであることも付記しておく。)こうして、クリスチャンになるとはこうなってしまうのだ、ということで、「クリスチャン」=「キリストに似た者」ではなく、「クリスチャン」=「幼児思考」と受け止められかねないのだ。

  他にもある。こちらは、神道を信じておられる方だが、キリスト教にはきわめて理解がある方である。けれども、日本キリスト教のことを嘆いて次の内容のメールを送って来られた。「韓国は約5割がクリスチャンですね。・・・中国の朝鮮族の多い地域も何故かクリスチャンが多いようです。韓国の場合は、朝鮮戦争時に坊主は山に逃げたが米軍の従軍牧師が決死の救済を行った事が布教につながったと聞いています。朝鮮半島及び中国の問題を論じるにはキリスト教を無視していけないのはご指摘の通りです。ただ、その事を理解出来ない方が多いのも事実ですし、キリスト教アレルギーが保守派に多いのは嘆かわしいかぎりです。但し、日本において一部の妙な教会がそのような情勢を作り出した事も事実で、これでは日本に於ける布教には限界があると思っています。」

 この一部の妙な教会とは、左翼思想や革新政党となんら変わらない主張を、あたかもキリスト教の主張であるかのように叫んでいることについてである。幸い、彼は曽野綾子氏などの意見も知っているので、変な偏見は持たれていないで済んでいるが、それでも、ズバリ「これでは日本に於ける布教には限界があると思っています。」と、鋭いことを仰っている。(そういえば、確か、北朝鮮のことが掲示板で語られていたとき、朝鮮半島事情に詳しいクリスチャンの方が、やはり、キリスト教指導者に、反自民色が強すぎるのは、自分は自民党支持ではないけれども、嘆かわしいぬ旨を話しておられた。彼によると、キリスト教指導者の中にも、拉致事件を否定していた人がいるそうだ。)

  そして、今アメリカが、イラク攻撃を開始した。反戦デモがマスコミで盛んに報道されているが、実はそれはごく限られた人々であり、世界の人々、また日本人の人たちも、冷静に考えている。ある掲示板で、「人間の盾、エゴの盾」という件名で、こんな意見を読んだ。

「人間の盾の有効性を認めるのは、彼ら自身の理想とは逆に、先進国民の命はイラク人の命より大事だという主張を強化する方向につながり。イラク人だったら殺されるが、私たち同国人は殺さないという論理なわけで、結局は、『イラク人は殺される』というような決め付けがあるとしか思えない。

イラク当局や国民も、人間の盾を歓迎しているようであるが、いざとなれば彼らを人質できるし、無視して攻撃すればアメリカを非難できるネタが増えるし、一石二鳥を狙っているのだろう。

たとえブッシュでなくても、期限付きで攻撃前に現地からの退去を求められれば、『期限以降は命の保証は無い』という意味なのは、古来より万国共通である。

『賢い爆弾』といっても、目標地点にいる人間の国籍まで見分ける能力はありません。熱と爆風と破片の嵐は、等しく惨禍をもたらす。現地から退去すること以外に、無事でいる術はない。『人間の盾』とは、しょせんは『傲慢さを伴った命がけの自己満足』でしかない。」

  これは、ごく普通の、ある運動の活動家の意見だ。人間の盾の報道を聞き、ここまでの感想を述べている。それだけ頭を使っている。特別な知識を必要としない。けれども、なぜかクリスチャンは、使わなければいけない神から賦与された知性を麻痺させ、特殊な空間の中に埋没していくのである。

  これ以上、人々のつまずきとなるようなことのないように、自らを律したい。



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