コロナ、イスラエル、中国

(3月21日にフェイスブックに掲載)

イスラエル首相ネタニヤフ氏の率いるコロナ対応は、私のようなものが是非を問うことはできません。批判としてではなく、「イスラエルをしてをさえ、抗うことのできない大きな一つの流れ」として、読んでいただければと思います。

自分が、今のイスラエルの状況に対して抱いていた心配が、次々と起こってくるので、祈らされます。コロナによる緊急事態にいるイスラエルが、議長が審議を止めたことで、国民の生活に死活的な議論ができず、停止してしまったままになっています。

伝染病の歴史は、「グローバル化」と密接に関係

先月末、日韓からの入国が禁止された時、また次々とアジア系の人々にヘイトが拡がる知らせを受けた時、「これだけ水際対策をしても、必ずイスラエルにも、パレスチナにもコロナは来る。」と断言しました。

ウィルスがこれだけ拡散している理由は、中国中心のグローバル化が根底にあり、イスラエルは(パレスチナ自治区も)中国の影響をもろに、受けてきたからです。韓国人の観光客に感染が分かったとて、すでに中国からのウィルスは何らかの経路で入っているはずだから、どんなに努力しても、台湾のように中国政府自体の封鎖よりも早期に入国拒否をしなければ、ウィルスの流入は不可避でした。

参照ブログ:「聖書預言と新型肝炎」

イスラエルでは既に、二つの経路を私は疑っていました。一つは陸路です。ヨルダンとエジプトですが、必ず、検査をしていないだけで感染は広がっていると思っていたからです。中国からのウィルスは、二国あるいはどちらか経由で来ているはずだ、と思っていました。案の定、日本人でエジプト旅行から帰った人々が感染していることが分かっています。

もう一つは、欧州でした。当初はイスラエルを始め、諸国がアジアからの渡航者を次々と入国拒否をしていましたが、すでに遅しです。なぜなら、欧州は中国の一帯一路構想に完全に組み込まれており、この構造こそが感染の流入と拡大を既に許していたのです。欧州と関係の深いイスラエルは、アジアからは止めても、欧州経由で入るところまでには至っていませんでした。

ウィルスの拡がりは、潜行して拡がります。潜って進行していくものです。これは歴史における疫病の大流行を辿れば、分かることです。その時代時代に、世界に広がる構造、グローバルな広がりがあって可能でした。だから、水際対策や隔離だけでは、阻むことは非常に困難というのは、歴史が物語っています。

中国との付き合いにあるリスクを熟知する国とそうでない国

しかし、チャイナ・リスクを良く知っている国は、同じ中華系の国、台湾とシンガポールです。彼らは、あまりにも中国とつながりがあるからこそ、その危険も熟知し、それで適切な対策を次々と講じていきました。それで通常の生活をしながら、効果的なコロナ対策ができています。

欧州や中東の地域は、その本質を知ることなく、そこにある市場や労働、技術に手を伸ばし、その危険性を顧みていない感じがします。

聖書で言うならば、旧約であればツロの崩壊によって、地中海全域に叫び声が聞こえ、新約であればバビロンが滅んだことによって、世界中がその損失で嘆き悲しむ、ということが起こっているのです。グローバル化の中心地に何かが起これば、全世界に波及します。

しかし、中国の世界覇権計画はコロナで損傷を受けながらなおのこと続いています。中国は「百年単位で考えている」と言われます。コロナ禍によって、その経済や社会の基盤が揺らぐどころか、その先端技術による超監視社会により封じ込めに成功し、この危機をむしろ転機として、イタリアなどに医療援助をするなど攻勢をしかけ、スペインはドローンによる監視を始めるなど、経済だけでなく、なんとその先端技術監視制度までを輸出しているのです。

そして、新たなコロナの物語を作り出しています。「中国は被害者だ、米軍がウィルスを持ち込んだが封じ込めに成功した。我々が時間稼ぎをしたのだから、あなたがた(諸国)は感謝すべきである。」だれも、こんな厚かましい主張を受け入れるはずがありません。

中国は「民」と「国」が逆転した体制

今、イスラエルが始めた、コロナ感染者と濃厚接触者を携帯電話で追跡する技術は、中国の監視技術体制にそっくりです。これが悪を制圧するのに使う分では正しい技術、一般市民に使うのは本末転倒です。確かに効率的です。

しかし同じような技術でも中国とイスラエルでは体制がまるで違います。中国は、国と民が逆転しているのです。「民のために国」があるのでなく、「国のために民」があります。ですから、技術も民を守るためでなく、国を守るためにあります。もちろん、結果として民のためになることもありますが、主客が逆転しているのです。ですから、効率のためには、犠牲者が出ても、人権を無視しても、やれることが数多くある体制です。

科学で制圧だけでなく「受けて、そして制する」

入国拒否から始まる一連の動きは、一つ一つはそれぞれ正しい判断です。しかし、全体としてみると、何か違う方向へ動いているのではないか?それは、ウィルスは「人間の制御を超えたものだ」という知恵が必要ではないか?ということです。

中国は北京オリンピックを開催するにあたって、「人工消雨」という「催化剤」の散布を行ったと言われます。天気さえも科学の力で変えてしまうという発想です。しかし、自然を人がどこまで制圧できるのでしょうか?コロナウィルスも人間の歴史の古の時代から存在していたと言われます。「受け止めつつも、警戒する」という余地がないのが気になります。

東日本大震災の時、堤防があまりも高すぎて、それで津波が襲ってきているのが分からずに、かえって逃げるのが遅れたという話があります。しかしはるか前に、おそらく明治時代に造られた堤防は、その水に抗うのではなく、一度その衝撃を受けて、それを他のところに流すような構造だったので、人々は津波の時は逃げなければいけないという緊張感も保たれていたし、津波が自分たちに押し寄せる、あくまでも「時間稼ぎ」をする役割でした。人間が津波をある程度「受け入れる」ことによって、津波を制することができたのです。

科学の力で完全制圧し、リスク・ゼロに近い安全を求める、という方法が、果たして天災に適しているのか?と思います。

生命は、生命以上に大切な価値観によって支えられている

イスラエルは、技術革新の最先端を行っています、しかしその根底に、命の尊厳、すなわち唯物論とは裏腹の、神を敬う、神から来た賜物を大事にする何かがあります。ゆえに、それが人類に幸福をもたらします。同じ科学技術でも、それを支える大切なものがあるのです。どんなに科学において最先端を行こうが、どんなに軍事技術が勝ろうが、神に選ばれた、神に信頼する国なのだという召命を忘れたら、生命が残ろうが、その精神を失ってしまいます。

ユダヤ民族の内部の試練とその克服

イスラエルは、ユダヤ人の集まりです。ユダヤ人は神の守りによって、歴史において多くの苦難を通り、そこに培われた知恵はとてつもないものがあります。近代イスラエルも、建国から強固な民主主義体制で始まりました。

しかし、忘れてはいけないのは、イスラエル人も、他の民族と変わりなく、神の前では罪人であり、何度となく失敗も繰り返しました。聖書にも数多く出てきますが、ローマによて70年、エルサレムが破壊された時、ユダヤ人が殺されたのは、ローマ人によるもの以上に、包囲されたエルサレムで、妥協しないユダヤ人が同胞を殺すという過ちを行ったから、敗北したと言われています。

イスラエルはその建国の歴史において、初めて民主主義の制度そのものが挑戦を受けています。総選挙を三度も行ったのに、その後の連立政権を組む過程で立ち止まってしまっています。

そして、コロナがやってきました。これだけ鎖国、隔離政策をイスラエルが取っているので、どれだけの経済的被害を一般市民が受けて入るかしれません。なので、次々とクネセット(国会)が通さなければいけない法案があるのに、議長が「コロナ」を理由に挙げて、すなわち議会に人数を集めると、保健省の出した規定に反するということで、議会をストップさせました。そのことを訴えようにも、裁判所もコロナを理由に停止させました。三権分離の一つしか機能していない状態です。

これは、連立を組むネタニヤフ首相の側と、対抗している青白党のガンツ氏側の駆け引きの中で起こったことです。しかし、国難の中で、国会の機能を停止させるほどの駆け引きなのか?ということです。市民の怒りは大きいのではないでしょうか?

案の定、エルサレムに向かってデモが起こりました。しかし、距離を保たないといけないという保健省の命令があるので、みなが車に乗ったまま、車の行列を作ったのです。上にイスラエル国旗と黒色の旗を巻いて。ところが逮捕されます。

ところが、です。ガンツ氏が、ネタニヤフ氏の「首相職の交替」の案を受け入れ、青白党からでなければならなくなったとしても受け入れるというニュースが入りました。

そして、今度は、裁判所が、クネセットを再開しなければ、コロナ感染者監視の技術は続けられないとも言いました。

2-3日のうちに、イスラエルのアメーバーのようにどんどん変わる政治状況、このごたごたも、イスラエル式の民主主義が機能している証拠かもしれません。

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