「中山防衛副大臣がユダヤ人権団体に告げ口」という中傷

オリンピック開催直前に、五輪開会式のディレクターが過去の反ユダヤ発言で解任されたというニュースが大きく取り上げられましたが、ユダヤ人権団体に、中山泰秀防衛副大臣が「告げ口」したという非難がネットを駆け巡りました。その問題について、フェイスブックに一連の投稿をしました。それを、ここにアーカイブとして残しておきます。

<中山防衛副大臣が伝える前に、
すでに把握、声明を準備していた、
ユダヤ人権団体>

 小林健太郎氏が、五輪開会式のディレクターから、過去の発言で解任されたことで、それをユダヤ人人権団体に通報したとして、叩いているコメント、ほんと多いね。

 普通の場合だったら、その批判、尤もなんだけれども、その人権団体、SWCの動きって、ものすごく徹底していて迅速だっていうのは、そこを取材した人たちは、良く知っている。「告げ口したから、SWCが動いた。」という前提が間違っているんですね。

 中川氏は、朝日新聞の取材に応えて、もう既にSWCが把握していたことを答えています。事実は、中山副大臣は国益のために、(もうすでに事態を把握しているであろうSWCに)、事情説明をしていたというもの。

 ちなみに、私は中山さんにも、SWCのユダヤ教ラビ、アブラハム・クーパーさんにもお会いしたことがあります。ここの報道の通りに、旧知の仲。(私がアブラハムさんに、「中山議員ご存じですか?」と尋ねたら、笑っていました。「さっき、会ってきたばかりだよ!」)

 アブラハムさんは、来日経験が何十回だったと思うので、日本のことはよく知っています。北朝鮮拉致被害者を揶揄したら、それがギャグでも、冗談で済まないでしょ?と言ったら、日本人にはピンと来る、っていうのもよくご存じ。

 そんなことよりも、こんな話題が出て来る時に、いつも気になるのが、次の英文記事。日本人にはどこかで、「我々日本人の内輪話」みたいな感じで、ユダヤやイスラエルを話題にして話しているんだよね。生身のユダヤ人がいて、その中には、日本語を良く知っている人たちもいるんだっていう想像が働いていない。

 かなり前に、日本人を奥さんに持つ、故デイビッド・グッドマン氏は、「日本人の思いにあるユダヤ人(Jews in the Japanese Mind)」という本を書いていて、日本人の「ユダヤ話」に、生身の、実際のユダヤ人が抜けていることを指摘、やはり「日本の内輪話だし、日本語で話しているから、分かりっこない」という甘えが、どこかしらにある点を指摘していますね。→ 「「ユダヤ人陰謀説―日本の中の反ユダヤと親ユダヤ」

 飯山陽さんがツイートしてたけれども、こういったニュースが出る時は、「この機会に反ユダヤ主義について、日本人にも少しでいいから知ってほしい。」ということ。背景や構造を、こういった機会に知るという努力が必要ですね。

ユダヤ人から見た小林賢太郎氏のホロコーストコント

 最後にシェア元は、イスラエル人の方(かつ、イエスを信じる方)が、かいつまんで、長い歴史に起こった反ユダヤ主義を列挙しているものです。ホロコーストは最悪ですが、でも、彼らにとってはそれはごく一部で、長い、反ユダヤ歴史が重くのしかかっているんですね。(あるイスラエル人の方は、「キリスト教による異端審問のほうが、ある意味で、ホロコーストより強烈」ということを教えてくださいました。)

 ついでに加えますと、今、欧米でかつてないほどの反ユダヤ事件が多発している最中、アメリカではFBI報告で、ヘイト・クライムの被害者がユダヤ系が断トツ、ガザ戦後は、なんと六割のユダヤ系アメリカ人が、反ユダヤの言動を受けたとのことです。これ、深刻でっせ。

<現実的なオリンピック阻止行動
開会式を含む、サイバー攻撃やテロ攻撃

 そして、イスラエルに慰めを与えた
東京五輪の開会式!!>

 涙が出ました。

【東京五輪】 開会式でミュンヘン大会のイスラエル人犠牲者を追悼

東京五輪について、やめるやめないという話が直前にまで出て来るという、悲しいニュースやコメントが多数ありましたが、私は菅首相のご発言を見て、そんなはずがないと思っていました。

 けれども、オリンピックには、現実的に妨害行動をする人々がいます。サイバー攻撃です。これはオリンピックの度に行われていて、毎回、はらはらする対処を主催国がしています。今も、日本のサイバー部隊は戦々恐々でしょう。

 そして、例えばドローンを使ったテロ攻撃とかの危険もあります。二年ぐらい前でしょうか、今や防衛副大臣になられた中山泰秀議員は、その時から、熱く、五輪に備えて、サイバーセキュリティーや、ドローン攻撃に対応しなければいけないと語っていましたね。

 ところで、オリンピックの最中に、選手が実際に暗殺されたという痛ましいテロ事件が起こったことがあります。「ミュンヘン五輪」における「黒い九月」です。スピルバーグ監督の映画「ミュンヘン」をおすすめします。

 これは、イスラエルにとって非常に屈辱的な出来事です。五輪開催中に、イスラエルの選手11名が殺害されたのです。テレビでも大体的に放映され、モサドが動こうとするも、ドイツ当局が断り、ものの見事に全員、殺されたのです。

 屈辱的というのは、その後です。五輪はそのまま続行され、何事もなかったかのように進められました!時のIOC会長は、反ユダヤ的言動で有名な人であり、ホロコーストを引き起こしたドイツで、世界から「無視」という形で、ユダヤ人がいかに軽視されたかを、まざまざを見せつけられたのです。

 今回の、ホロコーストをネタにしたコントで、ユダヤ人権団体だけでなく、在日イスラエル大使もすばやく、強い非難をしましたが、これだけの背景があるんですね。

 けれども、東京五輪の開催式、良い意味でそういった汚点を拭い去ってくれました。なっ、なんと開催式で、ミュンヘン五輪の悲劇が取り上げられたのです!!一分間の黙祷、それから選手や監督の名も読み上げられたそうです!

「夫を失った女性たち:
ついに夫たちに対して正義がなされました。49年が経ったが諦めた事はありません。涙が止まりません。この瞬間を私たちは待っていたのです。」
https://twitter.com/zion_jpn/status/1418544050450403331

「慰めよ、慰めよ、わたしの民を。」(イザヤ40:1)

<実際に会うことの大切さ
政治家とユダヤ教ラビと話した経験から

  日本にも巣食う、反ユダヤ的偏見>

 この頃、本当に感じていることは、「対面することの大切さ」です。SNSは、そもそも発信するための道具の一つにしかすぎず、そこには現実に触れることはできません。

 今回、東京五輪の開会式のディレクターが、過去にホロコーストを揶揄するコントをしたことで解任になった件で、中山防衛副大臣が、ユダヤ人権団体にいわば「告げ口」をして、それで解任されたということです。(記事

 私はにわかに信じがたいとすぐに感じました。中山さんが、政府をバイパスして、こんなことをするはずがないし、その人権団体の代表者、ユダヤ教ラビ、アブラハム・クーパーさんもこのことで東京五輪を揺さぶるような画策を持っているとは到底、考えられなかったのです。

 なぜなら、お二人ともにお会いしたことがあるからです。中山さんには、少なくとも三回、初めての時は彼の議員会館の事務所で初めてお会いさせていただきました。そしてラビ・クーパーさんとは、一回。その時のお話しから、中山さんがどのような思いでクーパーさんに伝えたのか、想像さえできたからです。

 中山さんは「告げ口」ではなく、日本の国益のことを考えて「火消し」をしたのだと想像しました。アブラハム・クーパーさんは、非難声明は出しても、五輪は祝福したいと思っていると思っていました。

 前者は、日本国を愛し、国に仕えておられる公僕だと私は感じていますし、後者は、日本に何十回も訪れたことのある知日派であり、私が牧師であるので、「日本での伝道は難しいでしょう。」と、なんとユダヤ教のラビなのに、キリスト教の宣教の難しさを気遣うほど、霊的状況を把握しておられたのです。

https://youtu.be/0ksrruw-3gc

 この動画で、果たしてその通りであることを確認した次第です。新しい情報としては、ラビ・クーパーさんは、パラリンピックのことも意識していたことです。ホロコーストでは、ユダヤ人だけでなく、障碍者も殺されていますから。その前に辞任した小山田氏のこともかなり懸念していたようですね。

 今は、SNSという道具があるし、政治家の方々は多くの人々に接していこうとしていますから、以前よりも、はるかに容易く、直接、お話しする機会を設けられると思います。

 クリスチャンとして政治家と会うのはどうか?と思われる人がいるかもしれません。私は、クリスチャンとして、牧師として、社会のいろいろな方々に、対面したいと願っています。主はどこにでもおられ、主は、福音をどの人にも伝えてほしいと願われ、主ご自身が、社会のど真ん中におられて、そこから福音を宣べ伝えられたからです。病院に勤める方々にあって、その事情を伺うのと、政治家の方々にお会いするのは、私にとっては同じです。

 対面で触れ合うからこその、その人の人柄や考えについての「感触」を得られます。SNSは、発信において、またつながりを作ることにおいて非常に長けていますが、実際に起こっていることは、その「背後」にあり、SNSだけに頼れば、そこには何かしらの仮想が多分に含まれ、虚像にさえなっていると感じます。

 今回の件については、右、左を問わず、ユダヤ陰謀論的な反ユダヤ的偏見を、日本の人たちがかなり深く抱いているということです。人脈を持つ、一政治家と、ユダヤ人人権団体のやり取りを、ここまで拡大解釈して、誹謗中傷できるのですから。

 ちなみに、ドレフェス事件というのが、フランスで起こっています。こちらも、反ユダヤの偏見の中で、一人の軍人が犯罪人に仕立て上げられます。

 このことを取材していた人が、「ユダヤ人がどんなにその国に同化しても、結局、「ユダヤ」で差別されるのだ。ユダヤ人の主権を持つ国を持たないと、我々の尊厳や人権は疎外され続ける。」と悟った人がいました。テオドールです。彼が、今のイスラエル国の父祖とも言われます。

<東京五輪のサイトを守るのは
イスラエルのセイバーセキュリティー企業、何十社
それを情熱をもってずっと前に力説した中山泰秀議員
売国奴は、どっち?>

 エルサレム・ポスト紙:「イスラエルの数十社のサイバーセキュリティ企業が、東京オリンピックのオンラインを守ってくれているそうだ。日本政府はサイバーセキュリティを最優先事項としてきた。

 オリンピックにおいて、サイバー攻撃は毎回、大きな課題で、その分野で先端を行くイスラエルの企業が守っていているんですね。

 二年前になるでしょうか、中山泰秀さん(現防衛副大臣)と何度かお会いしていたとき、五輪を鑑みて、サイバー攻撃やドローン攻撃に対処しなければいけないと危機感を抱き、イスラエルとの関係がゆえに死活的であるということを、イスラエルのスタートアップを主題にしたフォーラムで、ビズテリアの中で熱く語っておられました。

 そう、今回、開会式のディレクターの解任で、「政府をバイパスして、ユダヤ人権団体に告げ口した」と、いわれなき非難を受けた、中山さんです。(事実は、「火消し」で、それでも何とか理解してほしいと、五輪をやめさせるような方向で持っていかないでほしいと、旧知の仲であり、SWCの代表に、語っていました。)

 売国奴とかまで非難されたようですが、どっちが売国奴だか?と思いますね。

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