有神的進化論について その2 - 「ゲノムと聖書」批判

その1の続き)

ここでの講演者が、日本語にも訳された「ゲノムと聖書」”Language of God”という本の著者ということですが、この書物の率直な感想、そして批判をしているブログ記事があります。

「ゲノムと聖書」批判(1)(2)(3)(4)

私も進化論について、その基礎知識を学ぼうとして、例えば「現在の進化論入門 豪快痛快進化論」というサイトを読みました。「進化は今も謎だらけ。難しいことをごそっと無視して進化の基礎から問題点まで」とホームで紹介されていると通り、はっきりいって謎だらけでした。文章が分かり易く書かれてはいるのですが、まずもって論理が付いていけないのです。問題点はどんどん浮き彫りにされていくのですが、こんなに分からない科学理論て何なのだろう?というのが感想です。

簡単に「神が創造した」といえば、それで終わりです。その説明の一つ一つに、「その一言ですべて論理がつながる」と感じました。そうすると「進化論と創造論」というコラムもあるのですが「宗教であり科学ではない」と言われます。でも私が言いたいのは逆に、「神なしで説明しようと恣意的に行っているから、謎がただ深まるばかりで迷宮入りしているのでは?」ということでした。

それで、進化論をなるべく偏見なしにその初歩知識を得ようとしたところ、かえってますます、神の創造への確信がかえって強まってきました!

そこで、この「ゲノムと聖書」に戻ると、著書についての読後感想もネット上でたくさん見つけました。信者ではない方のほうが、信者の人たちよりも率直で、的を射た意見を言っておられます。

ここまでの話を著者は誠実に正直に書いているんだろうなと言う事は感じられました。ただ、もう少し突っ込んで説明して欲しいという箇所は残ってしまいました。例えば、創世記を字句通りに信じる必要はないとするならば、新約聖書に書かれたキリストの復活はどうなのでしょう。クリスチャンにとってはここは信仰の本質に関わる部分ではないのかなと想像するのですが、生物学者として筆者はこれも象徴的・寓話的と考えるのでしょうか。また、神の存在を証明する人間のみが持つ特質として道徳が挙げられていますが、これらをすら進化論的な枠組みで説明しようとする(つまり、道徳を持ちえた人間こそが生き残りの確率を高める事が出来、それが子孫に広まった)多くの科学者の試みをどう考えるのでしょう。

う~む、これらもすれ違いの議論になってしまいそうです。ドーキンスの本を読んで棄教する人が殆ど居ないのと同様に、本書を読んで信仰の道に入る人もやはり少ないのではないのかなと想像するのでした。(注:太字は私がしました)
http://www.onsenmaru.com/book/B-300/B-323-genomebible.htm

ちなみにリチャード・ドーキンスとは、欧米では有名なバリバリの無神論者、いや反キリスト教論者です。私たち信者は、そういった反対論者の意見に萎縮してしまい、つい妥協点を計ろうとして調整していく傾向があるのですが、真理というのは「地の塩」であり「世の光」なのです。折衷するときに、信仰の妨げを取り除いているつもりで、実は何の効果もないことに気づくのです。

もう一つ読後感想を紹介します。

 ほんとまじめなんですよ、この先生。自分の良心の落としどころを求めて、あれやこれや試行錯誤に調整を試みた末の、せいいっぱいの”有望な”神の延命計画を提案しているんですよ。インテリジェント・デザイン(ID)説に苦言を呈しーの、有神論的進化論を試しーの、バイオロゴスはどうかと打診してみーの。
 そこには、どこか、人類には共通の性向があり、共通項を確立すれば幸福がもたらされるのであり、という楽天的な妄念がどっぷりしいの、そしてあくまで、どこまでもどこまでも一神教圏の神設定から抜け出す気はいっさいございません状態で徹底しいの、なんだけれども、とりあえず、まあ、あちらのお国事情では、これもひとつありかな、というところで、見ておいて損はない一冊。
http://ep.blog12.fc2.com/blog-entry-1344.html

「ご本人の良心の落としどころの試行錯誤」というのは、まさにその通りではないでしょうか。周囲の人々に神の真理を伝えるべく奉仕をする、というのではなく、自分自身の信仰の模索をただ言い表しているような気がします。これまでの保守的な教会のあり方に対する漠然とした疑問があるが、けれども自分は神を信じている、という表明であるような気がします。そういった意味で本人には同情しますが、まだ信仰の若いクリスチャンへのつまずきになり、教会全体にも益をもたらさない、と言えるのではないでしょうか?

その3に続く)

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