「疫病」を機に、拡大した初代教会

(2月4日にフェイスブックに掲載)

あと一か月後に、ロゴス・ミニストリーで、トルコ・イスラエル旅行に行きますが、初めに黙示録の七つの教会を回ります。初日はスミルナ、そしてペルガモンです。

ペルガモンには、ギリシア・ローマの数々の神が祭られていますが、その一つにアスクレピオスがあります、医学の神で、蛇の形をしています。WHOの紋章に蛇がありますが、それはこの神を指しています。アクロポリス(城砦都市)のほかに、ペルガモンにはアスクレペイオンがあり、そこに病の癒しを祈願してくる人々が集まりました。このペルガモン出身で、ガレノスという医者がいます。古代における医学を確立し、その後の医学を決定づけました。

ところが、ローマ時代に、医学に関わる新たな制度を後世に作り上げる動きが起こりました。そう、初代教会の拡大です。なぜ、ローマ時代に、激しい迫害があったのに、それでもキリスト者の数は増加し続けたのか?いろいろな議論がありますが、その大きな一つに、「疫病に寄り添った教会」の姿がありました。

「古代ローマでも、疫病や自然災害など、多くの人々の命を奪う出来事は起こりました。そのような中で、被災者を実際に救助するだけでなく、人々の生活や心に寄り添いながら心身ともに支え続けた教会共同体への信頼。とりわけ、かよわい命へのケアに心を配ったことによって、教会では高い生存率が確保されたのではないかと推測されています。

古代ローマ社会は、貧富の差が非常に激しい社会だったため、金持ちは生き残るが貧者は早死にするのが普通でした。ところが、教会には貧しい人々がたくさんいたにもかかわらず、それを助ける豊かな人たちにいました。」(36頁)

参照ブログ:「書評「キリスト教の“はじまり” 古代教会史入門」

キリスト教会は、キリスト者を助けたのみならず、このような危機的状況の時に異教徒の人たちも助けたため、その共同体のある周辺は死亡率が低くなっていきました。

医学史とはどんな学問か第1章 ギリシア・ローマ文明とキリスト教における医学と医療

異教においては、何か災いが起こると、それは祟りがあるからだ、罰(バチ)があたったのだとなりますが、キリスト者は、「それでも神はおられる。そして神は愛しておられる。」と信じて、そのような苦しみの中にいる人々を慰め、強く励まし、寄り添うことを、強く促される信仰になっています。この隣人愛が、他の宗教と異なり突出していたため、キリスト者として回心するものが増えていった、ということです。

その後のキリスト教の歴史の中で、先ほどのガレノスの発達させた医学が、制度と文化の中で実践されていくようになりました。病院(hospital)の原型は、旅人をもてなす修道院付属の「ホスピス」であり、それが今の病院制度の土台となり、今に至っています。病院にはキリスト教系のものが多くなるのは、自然の成り行きです。

私たちの信仰は、自ずと隣人へ向けられる

長々と書きましたが、キリスト者は、その信仰のゆえに、疫病や災害の中にいる人々に心が寄せられます。先ほど、武漢にいる、日本の大学に留学していたキリスト者の中国人学生とFB友になりました。短期で戻っていたところが封鎖のため日本に戻れず、学業を続けられない状態です。

そして来週水曜日から、「東アジア青年キリスト者大会」が千葉県で開催されます。韓国からもキャンセルが起こり、中国からもキャンセルが来ています。なぜ中国からか?自分たちが感染するのを恐れているのではなく、自分たちが来ることで大会の参加者に迷惑をかえてしまうのではないか?という気づかいからです。そして中国からの説教者も、フライトが渡航制限のためキャンセルになり、来ることができなくなりました。

人間的には、「なぜこんな災いが起こっているのか?」と思ってしまいますが、いいえ、神はここにおられ、神が愛しておられます。何かを神は行っておられ、私たちが疫病と隣り合わせにいながらも、御心を行うように召されているのだと思います。

主よ、この状況を助けてください。武漢にいる兄弟姉妹が守られ、主の証しとなりますように。医療従事者の方々に知恵と助けが与えらえますように。中国人の方々が、この難を乗り切ることができますように。主よ、そしてこのことを通して日本が、日本にいるキリスト者が、あなたにある愛を示していくことができますように、お祈りします。イエスの御名によって。