「ユダヤ人解読のキーワード」


二週間前、三冊のイスラエル・ユダヤ関係の本を図書館で借りていて、今日、返却日なので二冊は延長、一冊は返却
しようと考えています。それで大筋読み終わったのが、次の本です。

「ユダヤ人解読のキーワード」滝川義人著

<内容>
「解読」という言葉は、謎、不可解というイメージを連想させる。現在、人口千二百万人のユダヤ民族は、四千年の特異な歴史体験を有し偏見にさらされながらも、思想、芸術、科学等の分野で貢献してきた。日本人はその存在を知るようになって日まだ浅く、今なお身近ではないので、ユダヤ観には先入見や妄想の産物ともいえるものが多い。本書では、キーワードを通してユダヤ民族の抱える問題点を紹介していくが、それは妄想の構造を解読することでもある。

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これまで、いろいろなユダヤ・イスラエル関係の書籍をこのブログに紹介しましたが、一般の日本人ならこの本はとっつきやすいのではないかと思います。日本人が書いているので、日本人の視点からのものが多く、理解し易いです。

「ハマスの息子」(Son of Hamas)ついに出た日本語訳!!

このブログで何度となく紹介させてもらったモサブ・ハッサン・ユーセフ氏ですが、彼の著書Son of Hamasがついに邦訳されました!

ハマスの息子(アマゾン)


これは、1)イスラエルとパレスチナの相克、そして2)この問題におけるキリストの愛の所在を知りたければ、必読本です。

上のアマゾンのサイトに本の紹介がある他に、拙ブログの記事と菊池一徳さんのブログを紹介します。

SON OF HAMAS(ハマスの子)

SON oF HAMAS(ハマスの子)その2

All About ガザ ガザ支援船拿捕事件の真相 エゼキエル38章の中東戦争の預言成就 ハマスの息子の救い(ページの一番下から読みます)

「栄えに満ちた喜び」(Joy Unspeakable)

ロゴス・ミニストリーは聖書の「言葉」を強調した働きですが、けれども福音宣教はご聖霊の働きがなければ決して成し遂げるはできないと強く信じている奉仕でもあります。

教会生活が長くなると、教会や教派によって変わってきますが、「聖霊のバプテスマ」「異言」という言葉を聞くようになります。その言葉は聖書そのものに書いてあるものであり、大事な体験であり賜物ですが、このことを知ろうとするや否や、乱雑した情報の海の中に投げ込まれてしまいます。終末についてもそうですが、こうした混乱の中で実は使徒も、「あなたがたに知らないでいてもらいたくはありません」と言って、これらの真理についてきちんと説明しています(1コリント12章1節、1テサロニケ4章13節)。

それで、お奨めするのは、チャック・スミス著の”Charisma versus Charismania“です。聖書の語っている神の麗しい油注ぎであるカリスマと、そのように見せかけて実は肉の力で行なっているカリスマニアとの違いを、聖書から解き明かしています。

ところが問題は、この翻訳が完成していないことです!妻が前半部分まで行なったのですが・・・、ごめんなさい。

もう一つは、聖霊の賜物について解きほぐしている「生ける水」(Living Water)です。これは、チャック牧師の水曜日の学びで行なわれた「聖霊シリーズ」の説教をまとめたもので、それを妻が訳したことがあります。この二つでじっくりと、ご聖霊の働きについて学ぶことができます。

それからちょっと高度の内容になるのですが、次の本を紹介します。

「栄えに満ちた喜び」ロイドジョンズ著

徹底的に聖書から、聖霊のバプテスマの体験について解きほぐしています。その他、「リバイバル」という彼による本も日本語訳で出ており、とても有益です。(ロイドジョンズのものは全ておすすめです!)

【後記】「栄えに満ちた喜び」をブログで紹介しているものがありましたので、こちらでもご紹介します。

「栄えに満ちた喜び」 D・M・ロイドジョンズ著  地引網出版
「栄えに満ちた喜び②」 D・M・ロイドジョンズ著
「栄えに満ちた喜び③」 D・M・ロイドジョンズ著
「栄えに満ちた喜び④」 D・M・ロイドジョンズ著
「栄えに満ちた喜び⑤」 D・M・ロイドジョンズ著
「栄えに満ちた喜び⑥」 D・M・ロイドジョンズ著

キリスト教書籍の復刊版

しばしば、いろいろな人にキリスト教関連の推薦図書を尋ねられます。私は、イエス様を新しく信じた人々、また信仰歴が長い人々にもお勧めするのは次の順番です。

1)聖書

私が信仰を持った頃は、聖書が何がなんだか分からずに、それに関する本や他のキリスト教関連の本をたくさん読みました。助けになったものも多かったのですが、混乱もかなり多かったのです。そうした紆余曲折も神様が用いてくださって、信仰の糧にはなっています。けれども、今はほとんど聖書そのものを読むのに費やしていて、これ以上に糧になっているものはありません。

難しいとお感じになったら、ぜひ「聖書の学び」で解説をお読みください。

2)牧者チャック・スミス著の本

聖書またキリスト者の生活に関わることを、分かりやすく教えてくれます。必ず実質的な霊的成長の手助けになるでしょう。何か本を読みたいと思われたら、まず、「翻訳メッセージ」のページを開いてみてください。

3)復刻版

何かを知りたいと思って、キリスト教書店に行ってみたり、インターネット上で探してみたりしますが、それは前者の場合、多くは、出版社や書店が販売したいもの(経営的動機)です。ですから、「教えの風」とエペソ4章に書かれているものである場合が残念ながらあります。

良い物は古典にあります。いわゆる「ロング・セラー」と呼ばれているものは、それだけ時代を超えた真実を含んでおり、多くの批判にも耐えてきたものです。すでにネット上で翻訳サイトで近代の説教者の翻訳があります。

<葡萄の実>ほん訳ミニストリー
(C・H・スポルジョンを始め、古典的名著が盛りだくさんです。)

聖書メッセージの部屋
(ウォーレン.W.ワーズビー等、こちらもすばらしい注釈書が勢ぞろいです)

そして「いのちのことば社」は、こうした必要に応えて復刊版サイトを立ち上げています。

限定復刊企画

2011年度のものを見るだけでも、このブログで紹介した「聖霊に導かれて進もう(井戸垣彰) 」、ジョージ・ミューラー、スポルジョン、バウンズ、ロイドジョンズ、「聖書パノラマ」、アンドリュー・マーレー、オズワルド・J・スミス、オズワルド・チェンバーズ等、静かに長く、そして広く読まれているものばかりです。自宅の本棚に図書を作りたいと思われるなら、これらを全部予約注文しても良いでしょうとも言えます。

「ケース・フォー・イスラエル」

まだすべてを読み終わっていないのですが、一冊、本を紹介します。

「ケース・フォー・イスラエル」アラン・ダーショウィッツ著

出版社はイスラエル・ユダヤ関連で良質の本を出し続けている「ミルトス」です。リンク先のページで目次を読むことができます。そして、書評として「スギハラ・ダラー」の著者手嶋龍一氏による書評を紹介しています。内容はこちらで把握していただければ、と思います。

そして販売先として、本書を推薦している中川健一師の「ハーベスト・タイム」でも購入できます。

私は、邦訳が出る前にこの本の存在を知っていました。紹介サイトThe Case For Israel – Democracy’s Outpostがありますが、書籍の他、DVDなども発売されています。私は本書の内容はすばらしいと思ったものの、著者本人には良い印象を持っていませんでした。いわゆる「リベラル派」の代表的弁護士だからです。かつては猥褻雑誌の擁護、同性愛者の権利拡大を始め、キリスト者で保守的な考えを持っている人ならば、目の敵にするような人物です。

けれどもこの点が味噌で、その超リベラル派のアラン・ダーショウィッツ氏がイスラエルのケース(主張)を擁護しているのです。なぜか?イスラエルは世俗民主主義国家として、高い水準を維持しているからです。同じ価値観に照らし合わせて、イスラエルが、周囲の中東諸国はもっての他、欧米諸国の基準に照らし合わせても優れた点を持っています。

したがって、「世の中でイスラエルを擁護するのは、アメリカの福音派のような狂信者しかいない。」という非難は、現状に照らし合わせていかに間違っているかを暴露しています。同時に、キリスト教界を含めて、人権を重視することを主張してイスラエルを非難するのは、いかにとんでもない間違いを犯しているかもよく理解できるかと思います。

簡単に言えば、「別に宗教的にならなくても、世間常識で考えて、イスラエルのしていることの多くを擁護できる。」ということです。

イスラエルの中にいる人たちにも、イスラエル政策について右から左まで幅広くあります。リクード党(右派)、カディマ党(中道)、労働党(左派)などいろいろありますが、その間で激しく意見がぶつかり合うものの、常識として一致して持っている共通事項があります。ダーショウィッツ氏は左派の考えと同じです。そのため、私は同意できない点がいくつかありますが、それでも彼の主張は、そんな議論以前の、人間であれば当たり前の価値観を提示しており、それゆえ十分に推薦できる本です。

以前紹介した「イスラエル全史」(マーティン・ギルバート著)もイスラエル左派に同情的な歴史家によって書かれたもので、これも同意できない点があるものの、イスラエルの国の全体を知りたい方には、誰にもお勧めします。

なので、ダーショウィィッツ氏もイスラエル個々の政策に対する批判を手厳しく行いますが、共通認識から大きく逸脱している非難に対しては別問題であるとし、強く反発します。私もかつて、「イスラエルを批判するとすぐに反ユダヤ主義者のレッテルを貼る。」という批判を受けましたが、手嶋氏が書評で言及しているように、単にイスラエル批判をしているのと、イスラエルそのものの存在またユダヤ人の存在を否定する反ユダヤ主義とは別物で、往々にして後者の場合が多いのです。

ちょうど日本の人たちに分かりやすく話すなら、「日本の対北朝鮮政策」が良い例でしょう。どんなに左派の人であっても、今、あの国が自国民に対して行っていることを同意することは決してないでしょう。事実、右寄りの言論人だけでなく、左寄りのジャーナリストが北朝鮮の内情や人権問題を取り扱い、いかなる懐柔策に対しても強く反発しています(例えば、高世仁氏石丸次郎氏)。

そして、これまでのイスラエルとパレスチナの関係、特に難民問題を取り扱う時に、アメリカでは定着している暴露本が邦訳されています。

「ユダヤ人は有史以来」(ジョーン・ピーターズ著)<上><下>

少しずつですが、こういう書籍が増えることが願ってやみません。訳者の滝本義人氏は数々の良書を翻訳されている方ですが、マイケル・オレン氏の”Six Days of War“をぜひ翻訳していただきたいです・・・とリクエストを、ささやかながら、おかけしたいと思います。

最後に、聖書的に、霊的にお話したいと思います。私は今のイスラエルに批判的になるときは、一つは、その「世俗化」であり、もう一つは、その「宗教性」です。前者は、道徳的に退廃している若者の姿を見ると罪からの救いを祈らざるを得ません。後者は、超正統派などによる信者に対する迫害です。これは、かつて主ご自身や使徒たちを迫害したユダヤ指導者と変わりない罪を犯しています。彼らの中にもニコデモのように真の信仰に目覚める人が出てくることを願ってやみません。

その他の事項について、イスラエルという国、そしてユダヤ人の世界を見ると、私は選ばれた民であり、神が目を留めておられる奇跡の国であることに驚かざるを得ません。私は、「聖書は絶対に正しい」ということを、彼らのこれまでの歩みと今の動きを見て、その信念が強くされていきます。

ベン・グリオン(左派で、宗教的ではなかった)は、「イスラエルで、奇跡を信じないものは現実主義者ではない。」と言いました。彼らは、聖書が教えている奇跡を実体化させているのに、彼ら自身が聖書の神を信じていない、という矛盾を抱えています。

米国系ユダヤ人であるダーショウィッツ氏も、「この不可解な問題に対する答えを探し求める過程で、暗黒の力が作用していることが、次第に明らかにあった。短期間の内に、世論の認識が劇的に変わってしまうのは、論理的、倫理的、法的いや政治的原則からは、説明できないからである(20頁)」と言っています。中川師も指摘していますが、リベラルの弁護士が「暗黒の力」という霊的説明を行っているのです!

選ばれた民ユダヤ人が救われることを願ってやみません。今、アメリカとイスラエルで、イエス様を信じる人が急増していることは、良い知らせであり、また主のご再臨の前触れです。

韓国・朝鮮関連の書籍 その4 呉善花氏の著書

「続・スカートの風」 呉 善花著

私が韓国の人々に触れ始めたのは米国でのこと、そして日本に帰ってからもたまたまそこが韓国の人たちがたくさん住んでいる地域とあって、聖書と英語を教えていた子供たちに韓国や在日の子息が多かったことがあります。それからは本格的に韓国との付き合いが始まりました。

もしこの直接的な触れ合いがなければ、呉善花さんの著作は「日本びいき、母国嫌い」という風に捉えたかもしれません。事実、今でもそこまで極端になることはないのではないか、という事例や文面はあります。(これもまた韓国の人の特徴で、極端から極端へぶれることが多いです。)

けれども言いたい要点は、他の著者には見つけることのできない本質的なものが多く、実に的を射ています。特に本書の「恨(ハン)を楽しむ人々」という副題は、今でも私の頭から離れません。

韓国のことを話している私と会った人は、私が感情的になっていくのを知っています。それを私自身も気づいています。今まで使ったことのない感情を使います。そこで自分自身が韓国に影響を受けていることを知ります。それは、他の民族には存在しない「恨(ハン)」という情念なのです。

「二度と付き合いたくない!」激しい嫌悪感から、「やっぱり韓国語を聞かないと落ち着かない。」という親近感に簡単にぶれる、いや共存していると言っても良いでしょう。

先ほどYoutubeで、彼女の外国人参政権に反対する演説の動画を見ました。先に私が書いた要点とほとんど同じことを仰っています。

http://www.youtube.com/watch?v=7uYlVheb76c

在日の人たちのありのままの姿と苦悩を説明しています。つまり、文化的、言語的、社会的にはほとんど日本人であること。けれども韓国人も日本人も、それぞれ単一民族国家意識が強いこと。それで韓国人は米国市民権取得を栄誉に思うが、日本国籍を取ろうと思えば母国を裏切るのではないかという気持ちになること、などです。

帰化手続きがとても簡単だという事情も言及しています。私も、ある韓国の知人が最近帰化したのですが、その事情を聞いて本当にびっくりしました。私が聞いてきた米国や他国における国籍取得手続きより、あまりにも簡易なのです。最近は「日本国民の人口減少対策」という背景もあるとか。

私も実は、反対に、韓国の人々に対する「恨(ハン)」を楽しんでいる日本人なのかもしれません。(笑)

ちなみに彼女の著作の書評を集めたサイトがあります。
http://o-sonfa.bk-1.com/

韓国・朝鮮関連の書籍 その3

「日韓誤解の深淵」西岡 力著

日韓関係の「もつれ」について取り扱っています。西岡力さんと言えば、救う会の会長として有名になっていますが、小泉首相が北朝鮮訪問をした10年以上前から拉致事件があったことを小論文の中で主張していた人で、本書にも掲載されています。

彼は日本の右派の人たちと協調している部分があるので、彼が福音派のクリスチャンだと言ったら驚く人もいるかもしれません。けれどもかつてリバイバル新聞で彼に対する取材記事が載りましたが、真実を限界がある中でも最大限追究するその姿勢は、黙示録20章にある「最後の審判」で自分が申し開きをしなければいけないという信仰が原動力になっているという記事を読みました。

彼のこの著作で感銘を受けたのは、「日本と韓国が経済的な協力と交流、協調をこれだけやってきたにも関わらず、なぜいろいろ関係がもつれることがあるのか?」という問いかけです。あまりにも身近になっているために、韓国の人も、日本の人も、既に持っている友好関係を見逃しているのではないか、ということに気づきました。

そしてこれは日本国内についても言えます。韓国にとっての日本への反発と、日本の中でのアメリカへの反発には似たものがあるからです。そして韓国がかつての独裁政権に批判的なのと、戦後日本の自民党政権に批判的なのがとても似ています。かつての韓国独裁制の中に大きな評価を見出すことのができるなら、今の日本も、かつての保守政治とその指導者に一定の評価を下さなければいけないのは?と思った次第です。

「めぐみ、お母さんがきっと助けてあげる」横田 早紀江著

この本については、多くの人がご存知だと思います。拉致事件を知るためだけでなく、彼女の信仰の証しとして読むことができます。ヨブが通った苦しみを、自分が娘を失った苦しみと照らし合わせて、そしてそこにある神の深遠な御心を知り、信仰に至りました。だから彼女の信仰は深い神の主権に拠っています。周囲の人々がああだ、こうだ言っている中でも決してぶれない強さを持っています。

彼女が引用している御言葉で、西岡力さんも確か引用した聖句と同じものがありました。「主よ。私の心は高ぶらず、私の目は高ぶりません。及びもつかない大きなことや、奇しいことに、私は深入りしません。(詩篇131:1)」

私たちの周りで起こっている事は、不思議なことが多いです。ぜんぜん理解できないと思って悩むことがあります。けれども、それは神の領域であり、「私はあなたの中にとどまっています」という決意が必要です。単純な信仰の中に生きることの必要性を学びました。

韓国・朝鮮関連の書籍 その2

「北朝鮮大脱出 地獄からの生還」宮崎 俊輔著

これはホーラー小説より、恐ろしいと感じました。全体主義の国家がどれだけ恐ろしいのか、私たちが得ている「自由」が空気の酸素のように、「当たり前にはなっているけれども、人間存在のためには絶対に守らなければいけない」尊い価値観であることを知りました。

これも、日本の過去の歴史の清算の過程で、それを利用して悪を行なう者たちに利用された空しい記録です。敗戦後、居残った在日朝鮮人またその家族を北朝鮮に帰還させる「帰国運動」がありました。これを日本政府もマスコミも後押ししましたが、「地上の楽園」と呼ばれていた当地の生活はまさに黙示録の地上の地獄絵の姿でした。

読んでいた時は、ブッシュ大統領が対テロ戦を行なっていました。そして調べていくうちに分かってきたのは、韓国内での対北強硬派、米国内の強硬派の急先鋒には、これらの亡命者らが数多くいるということでした。「自由」という酸素の重要性を一番知っている人々です。

「北朝鮮拉致工作員」安 明進著

同じく北朝鮮国内事情の話です。こちらは底辺で苦しんでいた人ではなく、エリート層で何が起こっていたかを知ることができます。けれども、こちらもあまりにもおぞましい姿を見てしまいました。究極の物質主義、唯物論の中で、人間そのものも武器の一つとして非人格化されていく過程を読みました。

ちなみに彼は、金賢姫と並んで日本人拉致事件の解明に向けての道を切り開いた人です。そして卒業した工作員養成大学では彼女の後輩に当たる人です。ですから、金賢姫の「いま、女として」をまず読まれると、時間的な流れを追っていくことができると思います。

そして彼は、麻薬所持と密売でいつしか逮捕され、日本国内では彼の証言そものに対する疑問が出てきました。けれども政治的謀略の中で起こった逮捕であることを、拉致事件に取り組んでいるジャーナリストが明かしています

「収容所に生まれた僕は愛を知らない」申 東赫著

北朝鮮内にある強制収容所の実態の記録です。以前「強制収容所」の看守であった安明哲の本を立ち読みして、あまりにもおぞましくて読むのをやめた覚えがありますが、この本は強制収容所で生まれて囚人として育った本人の証言です。安明哲氏の話は創作であってほしいという思いがありましたが、やはり事実であると確認しました。

ナチスによる強制収容所の話はその残虐性は世界に知れ渡っています。けれども現在進行形でそれと類似することが、まさに東京から飛行機で2時間程度しか離れていないところで起こっているのです。そして共産圏で起こっている犠牲者数のほうが、ナチスのよりもはるかに上回っているという統計もあります

ここから私は、「国際世論」というもの、マスコミの一般情報に対する公正さを疑い始めました。イスラエルを取り巻く情報は前から歪んでいることは知っていましたが、この世全体が歪んでいるのだと分かりました。「善」を主張している人々があえて取り上げない「悪」があるのだと、そしてその悪と戦っている人たちを悪人よばわりする事実です。イザヤ書の「悪を善、善を悪と言っている者たち(5:20)」の世界です。

ところでブッシュ米大統領が、なぜ北朝鮮を悪の枢軸国に入れたのか、その原動力になった本が「平壌の水槽―北朝鮮地獄の強制収容所」(姜 哲煥著)と言われています。彼は最も人気のない米大統領にされたみたいですが、彼についての再評価が必要でしょう。

韓国・朝鮮関連の書籍 その1

イスラエルと中東関連の書籍をブログでたくさんご紹介していますが、以前は、韓国・朝鮮関連の本をむさぼり読んでいた時期がありました。その中には自分の考え方や人生に大きな影響を与えたものがあります。その一部をご紹介したいと思います。

まず、拉致問題が表面化した直後読んだのですが、在日朝鮮人の民族機関である総連の元幹部が告白した次の本です。

「わが朝鮮総連の罪と罰」韓 光煕著

あらゆる憤りを感じた本でした。「民族差別だ!」という怒号の裏で行なわれていたあらゆる悪を、包み隠さず告白している本です。私はそれまで、36年間の日韓併合という日本の罪だけを考えていましたが、その過去の清算の努力を逆利用して、さらにとてつもない罪と悪を行なっている人間の堕落を見ました。人間はここまで悪くなることができるのか?と愕然した次第です。

ここから敷衍して、「過去に大変な環境の中にいた人に対して、その人の悪を悪だと言ってあげないこと、かわいそうだといって、罪を指摘しないことは、かえってその人の罪を助長することになり、愛ではなくその人を憎んでいることなのだ。」という結論に達しました。

例えば、親から虐待を受けていたために、自分の子供を虐待している人に、それを罪であること、そして罪の代価は死であること、悔い改めて、神からの罪の赦しを得なければいけないことを強く訴えなければいけません。これこそがその人が罪の連鎖から解き放たれる福音の言葉です。

「在日韓国・朝鮮人に問う―緊張から和解への構想」佐藤 勝巳著

同じく在日の人たちについての本ですが、彼らの人権運動に深く携わった人が厳しい目で彼らの日本社会における自立を訴えている本です。確かに差別はあります。けれども、その差別をかえってカンフル剤にして努力して社会的地位を得てきた人々の証言も載っています。

この本から敷衍して、アメリカにいたときのことを思い出しました。黒人や他の有色人種に限らず、白人の中でも後から来た移民は少数派で差別を受けていました。ある意味、ほとんど全ての移民が、「少数派から多数派」になるまでの不断の努力、差別を受けようとも自らの努力で切り開いていく姿を知りました。

私は実力をもったそのような在日の方々が社会的進出をして力を得ている姿を見て、すばらしいなと思います。それをねたみ「在日のくせに」などと言ったらそれこそ民族差別であり、同胞の日本人に「恥を知れ!」と言いたくなります。

確かに差別はあります。けれどもその解決は社会制度の是正以上に、個々人の努力です。それによって差別をしていた人が、かえって恥じ入るようになります。

SON OF HAMAS(ハマスの子) その2

この投稿記事は、先の「Son of Hamas(ハマスの子)」の続きです。

昨夜、本をすべて読み終わりました。彼を初めてインタビューしたハアレツの記者が、「どんどん読み進めて、夜眠ることができなかった。」と書いていましたが、私もどんどんのめり込んで一気に読んでしまいました。

本書についての概略は、日本語に翻訳された「緑の王子」という記事、また紀伊国屋書店の書評がありますのでぜひ読んでください。

これはあまりにも最近のホットな話で、こんなこと書いてしまっていいのかと思う程でした。大抵、自身の諜報活動を公にする人は、何年間もの空白を置いて、しかもその紛争が一定の解決が与えられている中で開示するものです(参考記事)。けれども「ハマス」というのは、まさに今進行している戦いの当事者です。この本のすぐ先に、例えば今回のガザ支援船の事件などが連結しています。

そしてモサブ(あるいはマサーブ)は、今のイスラエル・パレスチナ紛争に対する、クリスチャンとしての文字通りの生き証人です。もし、何かこの問題について物言いがあるならば、まず彼の証しを聞くべきでしょう。主が命じられた「敵を愛しなさい」という教えを、彼の置かれている立場で文字通り命をかけて実践しました。彼は、同胞のパレスチナ人をこよなく愛し、何よりもハマスの創始者の一人である父親を愛し、尊敬しています。その上で、彼はパレスチナの根本的問題を抉り出しています。

そしてこれは本書ではなく現在進行している話に移しますが、先の投稿記事に、国土安全保障省が彼を強制送還しようとしていたと書きました。私も祈りました。今朝のニュース記事を見ると、裁判所は、「新しい情報が入った」ということで、その考えを改め、彼の政治亡命を許可することにしました。ハレルヤ!

この背後には、数多くのクリスチャンの祈り、そしてアメリカの国会議員、元CIAの局長、そして何よりも彼の上司であった元シン・ベト(イスラエル版のFBI)員がアメリカに来て、証言のために身元を明かしたことがあるでしょう。下の動画は昨日のニュースです。

彼についての動画は、この他にも彼自身のサイト、そしてYoutubeにたくさん出てきますが、ここではCBN(Christian Broadcasting Network)のインタビューを紹介します。