日本のテレビ局がソドム遺跡を紹介

今、日本のメディアで、ヨルダンでの遺跡がソドムの滅亡のことではないか?というニュースが出て来ていますね。朝日系が報道しています。

「天の火」で滅亡した都市ソドムか? 中東の遺跡に隕石爆発の痕跡

https://youtu.be/Kg7xbgF3zlI

聖書の参考書では、ソドムは死海の東南部分にソドムがあったのではないか?というようになっています。いわゆる「ロトの妻の柱」と呼ばれているのは、死海の南の沿岸部分にある柱状になっているものですね。

けれども、福音派の神学校「トリニティ・サウスウェスト大学」のスティーブン・コリンズ(Steven Collins)教授が、死海の北東部にある遺跡「タル・エル・ハマン(Tall el Hammam)」が、ソドムではないかとして、ヨルダンの考古学庁の協力でこのプロジェクトを2005年から始めています。

公式サイト:Tall el-Hammam Excavation Project

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The Search for Sodom & Gomorrah

朝日新聞の記事には、科学誌へのリンク先がありますが、こちらですね。
A Tunguska sized airburst destroyed Tall el‑Hammam a Middle Bronze Age city in the Jordan Valley near the Dead Sea

日本語で詳しい記事がありました。「約3600年前に隕石落下による大爆発で大都市が丸ごと吹っ飛んで滅んでいたと判明、「ソドムとゴモラ」のモデルか?

コリンズ教授は聖書信仰を堅く保っている方で、かつ考古学者ですので、彼の主催するヨルダン旅行にぜひ行きたいと思っていましたが、まだ、かなっていません。(ヨルダン旅行記

しかし、私の師匠的存在でもある、牧者ジェイ・マッカールさんは、ヨルダン旅行をする時は、コリンズ教授の発見に基づいて、必ずここに連れて行きます。

ここでの考古学発見が、まさかこのような形で朝日系のメディアで紹介されるとは思っていませんでした。この発見は、ややもすると眉唾と揶揄される、保守的な福音派の聖書信仰を持っている人々によって発見されたところですから、今回のニュースは、そこがすごいと思いました。

ちなみにイスラエル側のネゲブ沙漠には、イスラエルにしかない「マクテシュ」という渓谷があります。これが、上から見ると、まるで隕石が走っていったかのような跡になっています。なんでこんな地形が形成されたのか、進化論的な説明がイスラエルの公式見解ですが、ソドムとゴモラに向かって、隕石が走って行った時に跡ではないか?とも想像できるわけです。(イスラエル旅行記

コロナ禍が現代社会に警告する神学的課題:「創造の秩序」と自然界への慎み

(4月28日にフェイスブックに掲載)

コロナ禍が現代社会に警告する神学的課題:「創造の秩序」と自然界への慎み

 こちらの論考、私もずっと、神がコロナを通して、何を語っておられるのか?という問いに、ここ1-2週間、語ってくださった応えでした。それは、「御子にあって神と和解し、自然と和解する」ということです。

 きっかけは、自身が企画していた聖地旅行です。3月に、トルコとイスラエルに人々を連れて案内する予定でした。ところが2月終わりに、イスラエルが、韓国人の観光客に陽性反応が出たことから、日本も合わせて入国拒否になったため、断念しました。とても悲しく、悔しかったです。

 その涙の心を持っていた時に、段々、これまでも見て親しんでいたイスラエルの自然が、信じられない美しさをもって回復しているのを見ました。ガリラヤ湖の水位が冬季に雨が降ったということもあり、どんどん上がり、ついに溢れるほどになったことです。自分が、ガリラヤ湖に行けなかった悔しさがある一方で、神が鮮やかに、「わたしは、わたしの造ったもので、栄光を受けているのだ」と語られた思いでした。

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Israel is Treating Tourists Like Coronavirus

“Israel has big scars from other nations and peoples. And even now, there is antisemitism all over the world. What’s happening now is being reported all over the Korean media. I’m worried that this will cause Korean people to take a more negative view of Israel. Please stop looking at the Koreans, Chinese, and other Asians as if we’re a plague.”

Israel is Treating Tourists Like Coronavirus

コロナで進む働き方改革

(3月9日にフェイスブックで投稿)

先の投稿で、コロナのおかげで中東で戦闘が一時、止んでいる話をしました。爆弾より強力な恐怖をもたらしています。

コロナの影響で「仕事ってこんな楽なのか」と思うようになった

日本でも根こそぎ、その構造をコロナのおかげで壊してくれているものがあります。「頑張りすぎ」というエートスです。エートスとは、自分たちが長いこと習慣でやっていって、自分の奥深い部分に横たわっている感情ですかね。責任感が必要以上にあるので、仕事をやめることができないのです。

ところが、今回、無理やりにでも出勤しない、あるいは、出勤しても長時間そこにいないとかいうことで、「なんだ、このこと、やらなくてもよかったのだ!」と気づいてます。どんなに「働き方改革」を政府も社会も叫んでもできなかったものが、コロナによる自粛をきっかけに、できるんだという希望が与えられましたね。

私個人にとって、聖地旅行の準備で何が最も大変だったか?というと、「人数集め」です。延期になって、正直何が大変だったかと聞かれたら、これです。何か用事があるから、「二週間は、仕事休めない!」ということ、また、「これこれをしないといけない」と忖度している部分で、行きたいけれども行けない、というのが大半です。

けれども、実は二週間休んでも、業務上は特に問題なく進行していることに気づくとか、実は休めるのです。

でもある参加予定のある兄弟が、いつもこう言っていました。「行けるか、行けないか」ではなく、「行くか、行かないか」ということ。旅行に行くと決めてしまえば、実はやる必要がないのに頑張って、やらなきゃって思っていることがたくさんあることに気づきます。

旅行の延期は、まだいつにするか決めていませんが、コロナが終息して、それから数か月はせめて必要なので、来年かな~と考えています。

「疫病」を機に、拡大した初代教会

(2月4日にフェイスブックに掲載)

あと一か月後に、ロゴス・ミニストリーで、トルコ・イスラエル旅行に行きますが、初めに黙示録の七つの教会を回ります。初日はスミルナ、そしてペルガモンです。

ペルガモンには、ギリシア・ローマの数々の神が祭られていますが、その一つにアスクレピオスがあります、医学の神で、蛇の形をしています。WHOの紋章に蛇がありますが、それはこの神を指しています。アクロポリス(城砦都市)のほかに、ペルガモンにはアスクレペイオンがあり、そこに病の癒しを祈願してくる人々が集まりました。このペルガモン出身で、ガレノスという医者がいます。古代における医学を確立し、その後の医学を決定づけました。

ところが、ローマ時代に、医学に関わる新たな制度を後世に作り上げる動きが起こりました。そう、初代教会の拡大です。なぜ、ローマ時代に、激しい迫害があったのに、それでもキリスト者の数は増加し続けたのか?いろいろな議論がありますが、その大きな一つに、「疫病に寄り添った教会」の姿がありました。

「古代ローマでも、疫病や自然災害など、多くの人々の命を奪う出来事は起こりました。そのような中で、被災者を実際に救助するだけでなく、人々の生活や心に寄り添いながら心身ともに支え続けた教会共同体への信頼。とりわけ、かよわい命へのケアに心を配ったことによって、教会では高い生存率が確保されたのではないかと推測されています。

古代ローマ社会は、貧富の差が非常に激しい社会だったため、金持ちは生き残るが貧者は早死にするのが普通でした。ところが、教会には貧しい人々がたくさんいたにもかかわらず、それを助ける豊かな人たちにいました。」(36頁)

参照ブログ:「書評「キリスト教の“はじまり” 古代教会史入門」

キリスト教会は、キリスト者を助けたのみならず、このような危機的状況の時に異教徒の人たちも助けたため、その共同体のある周辺は死亡率が低くなっていきました。

医学史とはどんな学問か第1章 ギリシア・ローマ文明とキリスト教における医学と医療

異教においては、何か災いが起こると、それは祟りがあるからだ、罰(バチ)があたったのだとなりますが、キリスト者は、「それでも神はおられる。そして神は愛しておられる。」と信じて、そのような苦しみの中にいる人々を慰め、強く励まし、寄り添うことを、強く促される信仰になっています。この隣人愛が、他の宗教と異なり突出していたため、キリスト者として回心するものが増えていった、ということです。

その後のキリスト教の歴史の中で、先ほどのガレノスの発達させた医学が、制度と文化の中で実践されていくようになりました。病院(hospital)の原型は、旅人をもてなす修道院付属の「ホスピス」であり、それが今の病院制度の土台となり、今に至っています。病院にはキリスト教系のものが多くなるのは、自然の成り行きです。

私たちの信仰は、自ずと隣人へ向けられる

長々と書きましたが、キリスト者は、その信仰のゆえに、疫病や災害の中にいる人々に心が寄せられます。先ほど、武漢にいる、日本の大学に留学していたキリスト者の中国人学生とFB友になりました。短期で戻っていたところが封鎖のため日本に戻れず、学業を続けられない状態です。

そして来週水曜日から、「東アジア青年キリスト者大会」が千葉県で開催されます。韓国からもキャンセルが起こり、中国からもキャンセルが来ています。なぜ中国からか?自分たちが感染するのを恐れているのではなく、自分たちが来ることで大会の参加者に迷惑をかえてしまうのではないか?という気づかいからです。そして中国からの説教者も、フライトが渡航制限のためキャンセルになり、来ることができなくなりました。

人間的には、「なぜこんな災いが起こっているのか?」と思ってしまいますが、いいえ、神はここにおられ、神が愛しておられます。何かを神は行っておられ、私たちが疫病と隣り合わせにいながらも、御心を行うように召されているのだと思います。

主よ、この状況を助けてください。武漢にいる兄弟姉妹が守られ、主の証しとなりますように。医療従事者の方々に知恵と助けが与えらえますように。中国人の方々が、この難を乗り切ることができますように。主よ、そしてこのことを通して日本が、日本にいるキリスト者が、あなたにある愛を示していくことができますように、お祈りします。イエスの御名によって。

“いつ”主が来るのか?よりも、”なぜ”来るのか?

 キリスト教会には、主が来られ、空中にまで天から降りてこられ、教会の者たちが引き上げられること(携挙)について、また、神が御怒りを災いによって地上に表される患難が襲う前に引き上げられることについて、いろいろな批判があります。その一方で、この患難前の携挙説の正しさを強く主張しているグループもあり、両極に別れている感じです。

 私は、神が、世の終わりに、これまでの積み上げられた地上の悪に対して、御怒りを現わす時が定められていると信じています。そして、キリスト者は神の御怒りから救われることが約束されており、また、いつ主が来られても、思いもよらない時に来られる切迫したものだということから、患難期の前の携挙を信じています。

 しかし、ここで大事なのは、いつ携挙が来るのか?ということに焦点を合わせるのではなく、「なぜ主が教会にために戻って来られるのか?」ということを考えたいと思います。

御怒りからの救い

 一つに神の、ご自身の御怒りからの救いがあるでしょう。世からの患難は、悪魔から来ています。キリスト者は、その患難や困難の中に置かれて生きています。しかし、いつまでもそのままにはしておかれません、主は悪に対して悪で報いる公正な方です。テサロニケ第二1章を見れば、苦しむ者に対して、苦しみを与える目的で、神ご自身が下す患難があり、主が地上に戻られる時には、福音に従わない者たちに対する裁きがあることを宣べています。 続きを読む “いつ”主が来るのか?よりも、”なぜ”来るのか?

書評「キリスト教の“はじまり” 古代教会史入門」

 2018年にクリスチャン新聞で、吉田隆氏による「古代教会に学ぶ 異教社会のキリスト教」という連載記事があった時に、私は食い入るように読み始めました。

新連載「 古代教会に学ぶ 異教社会のキリスト教」第1回 “これからの日本の教会”のために

 本書は、その内容をまとめただけでなく、詳細に注釈や図解、写真、参照文献を加えて、本題の通り、「古代教会史入門」の体裁となっています。

本書サイト1(いのちのことば社)

本書サイト2(アマゾン)

書評「信仰告白の重要性を現代に問う書

トルコ訪問は「ローマ」を辿ること

 ここに書かれている内容は、私がトルコ旅行に去年と今年に行き、強く感じたことでした。トルコにある遺跡を訪問するということは、実は、「ローマを訪ねる」ことです。

 私たちがローマというと、イタリアを思い出すでしょうが、そこは西ローマであり、330年に遷都し、1453年まで続いていた東ローマはトルコなのです。さらに、新約聖書の教会の誕生から間もなくして、使徒の働き13章以後の宣教の旅、使徒たちの手紙の宛先の多くもローマのアジア属州にあった町々であります。パウロ、ペテロ、そしてヨハネが活動をしていたところであり、その後の初代教父もこの地域の出身であり、云わば「教会を知ることができる」ということです。 続きを読む 書評「キリスト教の“はじまり” 古代教会史入門」

「海難1870」から知る、日本とのつながり

ブログ「「史跡・都市を巡る トルコの歴史」」の続きです。
先日、この映画を妻と共に見ました。

海難1890

トルコが親日である理由

なぜ、トルコが親日なのか?その理由は、「エルトゥールル号遭難事件」にあると言われます。

日本とトルコの関係(ウィキペディア)

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「史跡・都市を巡る トルコの歴史」

今年に入ってから、次の本を発見し、長い期間をかけて、実に四月初めのトルコの旅にも持参しながら、少しずつ読んでいった次の本を完読しました。

史跡・都市を巡る トルコの歴史 古代から20世紀までの文明を探る(野中恵子 著)

まずは出版社の紹介から:「トルコ各地の史跡・旧跡・古都・博物館などを巡り、その見聞を語りながらトルコの歴史を描いていきます。トルコは古代より文明が重層する地であり、キリスト教とイスラム教の二大帝国が存在した要衝です。本書では、そのトルコ各地の魅力を語り、そこから立ち上る古代から20世紀前葉までの歴史に思いを馳せつつ解説します。また、トルコの通史を理解する鍵を、アジア・イスラムという一般的なイメージのなかで、じつはローマ史であるという点においていることもポイントです。トルコ史の一般教養書としても旅行ガイドとしても楽しめる内容となっています。」

旧約の人類の始まりから新約を超えた悠久の歴史

私の聖地に対する想いは、1999年のイスラエルへの旅から始まり、合計、イスラエルへは五回、旅をしています(「聖地旅行記」のページ)。そして、その間にエジプトに一回、ヨルダンには二回、足を運んでいます。それは、聖書の舞台は現代イスラエルに収まっているのではなく、その周辺国にも及んでいるからです。 続きを読む 「史跡・都市を巡る トルコの歴史」

ヘロデ宮殿 – イエスを尋問した総督官邸

2020年3月にロゴス・ミニストリーで企画している旅では、このビデオに出て来る「ダビデの塔」に訪問したいと思っています。私にとっても初めてなのですが、ここでの大きな出来事は、「総督ピラトによる、イエスに対する尋問」です。


Herod’s Palace: Site of Jesus’ Sentencing?

伝統的に、ヘロデ宮殿(ヨッパ門の脇)の反対側にある、アントニオ要塞(ステパノ門の傍)がピラトなどの総督官邸とされていました。そこから受難の道であるヴィア・ドロローサを経て聖墳墓教会に行くのですが、今は、ヘロデの宮殿が総督官邸であったと言われています。(APニュースの動画

当時のエルサレムの再現CG(ヘロデ宮殿とアントニオ要塞に注目)

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