Epicenter(震央・震源地)

Epicenter: Why the current rumblings in the Middle East will change your future
(震央: なぜ、中東での今のゴタゴタがあなたの将来を変えるのか)

順番が前後しましたが、ジョエル・ローゼンバーグ氏によるノンフィクション第一弾です。

この書の主題は「第三のレンズ」です。世界情勢を読み解く時に、公の機関が出すもの、そしてテレビ、新聞、インターネット等の媒体によるものがありますが、何らかの視点を持って見ています。一つの出来事でも、経済学では、マルクス経済と近代経済が全然違う答えを出すように、どのレンズを使うかによって、見えてくるものも変わります。そして聖書を信じるキリスト者には、聖書預言というレンズがあるのだ、ということを提唱しています。

著者は、選挙キャンペーンに携わる仕事から降りて、文筆活動を始めました。国際政治に関わるフィクション小説です。内容は、「神風特攻隊のごとく、イスラム主義者が旅客機をハイジャック、そのままアメリカの都市を攻撃する」という始まりですが、彼がこれを書き上げ、出版社に送ろうとしていた時、彼の自宅の上空を、ペンタゴンに向かうあのアメリカン・エアー77便が飛んでいたのです。

それから、彼は「ノストラダムス」と呼ばれるようになりました。彼が執筆する小説の出来事が、ことごとくその通りになっていくからです。アラファトの死とその後の中東和平の努力、ロシアとイランの軍事同盟と核開発、これらがことごとくその通りになりました。そしてこのEpicenterでは、イラクは確実に復興すると予告していますが、当時、イラクは戦後の内乱が続いている中で到底信じられるものではありませんでしたが、今は、着実に復興し、情勢も比較的安定しています。

太平洋戦争で負けた日本はその復興のため、特にイスラエル建国に関わる中東情勢の変化に追いついていませんでした。そこで、世界を見つめる物差しとして、一つは、左翼思想に基づく「強者 対 弱者」の二重構造、もう一つはそれと似ていますが、「得体の知れない支配者 対 操作されている人々」の構図で見る陰謀論が、特にインターネットの中ではまかり通っています。イスラエルやパレスチナ、またアメリカの政治を見るとき、この視点でしか見ていない気がします。

けれども、聖書を信じる者には「先を見る」という特権が与えられています。個人的には、永遠の命という幻、そして世界的には、神の国の到来という将来を見ることができるのです。そして、今起こっていることも、確実に、その終末に向かっていることを、聖書を通して見通すことができるのです。

そしてローゼンバーグ氏は、預言をエゼキエル38,39章に絞って論じています。そこには、ロシアとペルシヤ(イラン)が率いるイスラエル攻撃、そして神の介入を預言している個所ですが、ロシアのプーチンの台頭と、マーディ(イスラム版メシヤ)の到来を熱望するアフマディネジャドとの同盟が、その危険性を一段と増し加えていることを指摘しています。

その他、イスラエルに石油採掘が行われること、イラクはこの預言にはイスラエル攻撃の国として列挙されていないので、必ずイラクはイスラエルに比較的友好になること、イスラエルは比較的、安全な土地になることなども予告していますが、これらはすべてその通りになっています。

そしてこの世界の震源地で、もっとも霊的な地震である、イスラム教徒の間でのキリストへの回心を報告しています。これが米国同時多発テロを契機に起こり始めていることを論じています。イスラム過激派のすることを見て、多くのムスリムがイスラム教そのものに幻滅したからです。(こちらに日本語訳の記事があります)

このような見方は、いわゆる「国際情勢の読み解き」の類のニュースでは出てこない話しです。私たちはしっかりこの目を持って、この世の光となっていく必要があるでしょう。

ちなみに、今オバマ政権になり、大衆主義がそのまま外交政策になってしまいました。(その証拠に、マスコミはオバマ大統領を批判していません。)これまでのアメリカの政治外交の良き伝統を捨ててしまいました。けれども、政府関係者、ペンタゴンの人など、ジョエル・ローゼンバーグ氏を招いて聖書が語る世界を傾聴しているのは、何よりもの救いです。

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