東アジアキリスト青年大会第四回

去年暮れ、本ブログでご紹介した2月13‐15日に開かれた「東アジアキリスト青年大会」ですが、無事帰ってきました。今回は、第三回以上に霊的に充実した恵みに溢れた大会となりました。日中韓の関係が悪化している中で、むしろ世の光としてキリスト者がこれまでにない一致と平和を若者たちの間で享受できたと思います。

詳しい報告は、時を追ってこれから少しずつご紹介していくと思いますが、まだ興奮の冷めないうちに書き留めておきたいと思います。

まず、参加者の構成です。前回は、日本人が私たち夫婦しかいなかったのですが、今回は合計9名が参加できました。また日本に在住の中国と韓国の兄弟姉妹も参加し、日本からは合計20名以上になります。そして中国本土からは二名が参加、さらに脱北者の姉妹も二名参加です。合計50数名による大会です。

そして共通しているのは、大会前の「不安」です。初めての人は大きな期待を抱きながらも、青年のみならず講師として招かれている先生方も初めての人は不安だったと思います。一体この大会が何であるのか、その内容が見えないということ、さらに、日中韓の関係悪化の中で何か嫌な経験をするのではないか、という不安も少なからずあった`かもしれません。しかし、共に三か国語の歌詞が出ているスクリーンを見ながら同じ賛美を歌い、御言葉を聞き、共に祈りあう時間を過ごしながら、一気に主のご臨在に中に引き込まれました。

本大会は2月13‐15日ですが、済州は自然景観の宝庫ですので、10‐12日の事前宿泊もありました。それで前々から宿泊した兄弟姉妹もたくさんいました。

開会礼拝は、私が担当させていただきました。ヨハネ4章のサマリヤの女の話から、サマリヤ人とユダヤ人の敵対関係の、複雑な歴史的、民族的、宗教的関係を説明し、それと日中韓の対立を話しました。その中にあってイエス様がサマリヤの女に近づき、ついにピリポ伝道によるサマリヤ人の霊の救いによって、ユダヤ人とサマリヤ人が一つになった話をしました。

そして、小グループに分かれての自己紹介です。各グループに、万遍なく、日中韓の兄弟姉妹が入っています。これが青年たちにとっては、とても貴重な時間だったようです。

夕食を挟んで、夕拝は済州の教会のソ・スンファン牧師が説教されました。去年もいらして、済州の平和記念館を案内してくださった方です。マルコ3章最後にある、「神のみこころを行なう人は、わたしの兄弟、姉妹、母である。」という御言葉から、このような自然の感情にそぐわないイエス様の命令に従う者になることとして、自分に潜在意識にあった反日感情、また反中感情を生々しく告白されていました。それがいかに間違っているか、神の御心にかなっていないかを説き、イエス様の命令に従うところの平和を強調されていました。

二日目は、朝のデボーションの時間から始まり、実に夜十時まで濃密な時間を過ごしました。朝のデボーションでは、東京日暮里国際教会の朴樹民牧師が、エペソ書2章後半から、キリストの血による和解と、新しい人が造られていくその過程を説明されました。私は、いや、他のほとんど全員の参加者が、その新しい人が造られていった、その霊的一体感を経験したと思います。

そしてTalk and Playという時間が新たに設けられています。これは、講義よりも、もっと緩やかなお話しと小グループに分かれての話し合いです。一つ目は、OMFに所属の宣教師の安ダニエルさんです。出身は韓国人なのですが(今も国籍は韓国とのこと)、イギリスなど数カ国に滞在経験があり今はシンガポール在住で、そこの神学校で宣教学を教えておられます。世界宣教が、ものすごい勢いでアジア中心になっていることを、プレゼンで見せてくださいました。キーワードは、「有機体」です。中国、韓国、そして意外に日本もが世界宣教の中で過去の歴史から今、そして将来に向かって、ものすごい勢いで中心地となっています。アメリカ人など西洋人との付き合いの多い私も、宣教会議に出るとアジアに移っているという話はそれとなく聞いていたのですが、ここまではっきりと、統計と図解をもって示してくれたのは驚きです。さすがOMFという、最先端の宣教団体の方だなと思いました。

そして、講義の時間です。去年もいらした、金ウンギョ教授が古典を読むことについて解説してくださいました(日本語の著作)。彼は、早稲田大学でも教鞭を取っておられた先生で、今は韓国でキリスト教テレビ番組を一つ担当されている方でもあります。古典を読むところから、聖書を読む姿勢を説明し、聖書の一句を取り上げるだけの信仰は、その前後関係を無視し、まるでおみくじみたいになっており、神がいないことを宣言しているようなものだ、と力説していました。

そして、お昼の時間です。食事の回を重ねるごとに、いろいろな人々と交われるようになっています。

それから、午後の講義は、長年、北朝鮮食糧支援にキリスト教民間団体として携わり、今は、脱北者の若者への財政支援の財団を運営されているユン・ファンチョル先生による講義です。「脱北者」という存在がどのようにして一般に知られるようになったのかを客観的に説明し、今の北朝鮮への支援を若者に考えさせました。

そして再び小グループに分かれた時間です。この間、私たち講師や教職者やこれからの大会に向けての話し合いの時間を持っていました。

そして講義の二回目が始まります。主題は「賀川豊彦」です。そして講師は、綾瀬東部教会のノ・ハッキ牧師です。私たちが97年にアメリカから戻って以来の付き合いで、日本人への宣教を堅実に行っておられ、神が多くの実を結ばせておられます。彼は説教であればいつでもすぐできるような賜物をお持ちですが、何と頼まれたのは賀川豊彦の紹介です。専門外の分野のため、10日から当地に入り、本と格闘していたとのこと。

ところが、これが逆に良かったです。賀川豊彦の人生を通して、聖書的、霊的原則をそのまま若者に当てはめていく試みをなさいました。ついでにすごいのは、彼は日本語で講義、けれども通訳は、二年前まで韓国語を知らなかった、当教会の(私も良く知る)若い献身者の日本人兄弟が韓国語に通訳しました。私は野次を入れて、「韓国人が日本語で講義、日本人が韓国語に通訳!」と言ったら皆が笑っていました。

・・ちなみに、言語が心配という声が参加した人々も、またしようと思ってあきらめた人々の中で必ず出てきましたが、一つは講義者の横で通訳者が逐次で通訳し、もう一つは無線機でもう一つの言語で聞く、というものです。今回は主に、中国人で韓国語や日本語の分からない兄弟姉妹が中国語の通訳を機械で聞くことになりました。そして小グループでは、誰かが二か国語以上話せるので、その人が通訳をして全体で意思疎通が取れていました。

それからご飯を食べて、夜にも礼拝があります。そこでは、日本から永井敏夫先生がエゼキエル書から「破れ口」をキーワードにして説教されました。人と人、国と国、様々な間にある破れ口がサタンのものによることであること、それをつなぐ働きをキリスト者が担っていることを話されました。彼は、聖書翻訳を手掛けるウィクリフ宣教会で奉仕の働きをされた後、今は、在日の外国人キリスト者への働きかけ、また在外日本人キリスト者への働きかけ、それから今は、復興支援をするクラッシュ・ジャパンを中心に、人々とのネットワークを作るご奉仕をされています。

それから、最後の夜が良かった、三か国が各グループに分かれて、それぞれの祈りの課題を三つだけ挙げます。そして他の二つの国の兄弟姉妹がそのために心を合わせて祈る時を持ちました。なんと麗しい平和の姿だろうか、と私は感動しました。

Praying for each country

その後、夜食です!なんとビザとフライドチキン。かなり胃がもたれました(笑)。

そして三日目。朝のデボーションは、再び朴宣教師がエペソ2章の残りを話しました。そして、平和の抱擁を韓国で行う日本人青年の映像を見せて、私たちの心がキリストにあって結び合う祈りの時を持ちました。

そして最後のTalk and Playです。何人かが大会で受けた恵みを分かち合いました。参加者の若者がどのように心を動かされたか、言葉でもって聞くことができましたが、かなり深い内容を話しています。

そして閉会礼拝です。この大会のビジョンが与えられた発起人である、李スンジャン牧師(韓国語のウィキペディア)です。黙示録11章15節の「この世の国は私たちの主およびそのキリストのものとなった。主は永遠に支配される。」というところから、私たちがイエスを主とし、王として生きていかねばならぬこと、そして日中韓の対立の背後にはマモニズム(物の神)、さらにその背後に悪魔のあがきがあることを暴きました。そして、キリスト者がなおのことこの悪しき力に勝利して平和を造るという、深い霊的洞察を示してくださいました。そして最後は聖餐式で終わります。

私事になりますが、私はこの牧師さんが、日本でいうKGK(キリスト者学生会)のような韓国学生運動の始まりで用いられた、日本でいうならば尾山令二先生のような存在であることを後で知りました。大晦日にも日本に訪問された時にお会いして、交わることができ、本当に謙遜で、偉大な器であることを感じています。彼はイギリスで神学教育を受けられた方ですが、イギリスではジョン・ストット を尊敬しているが、アメリカで尊敬する指導者はチャック・スミスだと仰っていました。

日本のキリスト教会にも、韓国や中国と関わりのあるすばらしい指導者がたくさんおられるはずなのに、なんでこんなちっぽけな若造がこんなに好意をいただいていただいて、本当に恐縮で、どうすればよいか分かりません。完全に神の恵みの御手があります。

そして済州国際空港に向かいました。その帰り路で、去年と同じ岬を見て空港に行きました。

後日、さらなる報告が、クリスチャン新聞やその他の媒体で出てくるかと思います。私は個人的に説教や講義の音声を録音しましたが、韓国主催者側も録音していたとのことなので、もしかしから全て聞くことができるのではないかと思います。とりあえず、開会礼拝の私のと、閉会礼拝の李スンジャン牧師の説教を掲載します。

開会礼拝:ヨハネ4章「宣教による一致」
閉会礼拝:黙示録11章15節「主が支配される」

クリスチャン新聞のニュース速報(その1その2その3その4
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3月30日の晩に、感謝会をする予定です。日にちが近づきましたら、改めて具体的なことをお知らせいたします。

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