日本人におすすめする中東問題の本

三つ前の記事「ここが変だよ!池上彰さん その3」の補足です。ある方から、「日本のマスコミにこのレベルで問題を理解することを求めるのは難しいと思った。」「パレスチナ問題の本を読んだが学者によるもので、イスラム研究者だと思う。」という感想を頂きました。

以上の三つの投稿記事は、マスコミの人たちが読むことを期待して書いたものでした。けれどもキリスト者としてもっと突っ込んで大胆に書くならば、エルサレムやユダヤ人を取り囲む問題を取り扱うことは、すなわち自分自身の問題を取り扱うことに他なりません。聖書にあるように、イスラエルの民を神が選ばれているので、彼らに起こっていることが、すなわち私たち人間一人一人と神との関係を映し出す鏡となっているからです。

ゆえに、日本の人たちがエルサレム問題を取り組むことは、すなわちキリストへの信仰を持つぐらい難しいことであると思います。1パーセントのクリスチャン人口は、パレスチナ問題もそれだけの理解力しかもてないと言っても過言ではないと思います。(例:日本人は、たいてい自分は無宗教だと言いますが、実は強固な多神教信仰の世界観を持っている、ということに気づかないと、正しい理解はできません。)

私自身も、悩みながらこれまで調べてきたのですが、中東問題については専門家でも何でもなく、初心者また学習者だと思っています。けれども、一般に出ている良書と呼ばれているものは読むように努めてきました。イスラエル近現代史としては、以下のブログ記事にリスト・アップしていました。

初めから物語る歴史 - イスラエル その5

全体の流れを知るには「イスラエル全史」がいいです。これで全体像がくっきり見えました。

そして独立戦争は「おお エルサレム! 」が定番だと言われています、ひどく感動しました。肌で彼らのことを感じたいなら、絶対これをお勧めします。六日戦争については、「第三次中東戦争全史(Six Days of War)」にまさるものはないと言われています。この二書はイスラエル側だけでなく、アラブも、また英国や米国等、それぞれの登場人物の生身の姿を描き出すことに非常に長けています。池上さんのように「まとめて」いないのです。そのまま出して、あとは読者に感想をゆだねるというアプローチです。

ヨムキプール戦争全史」も良かったです。戦争のすさまじさと、そしてシャロンなどいつも悪者にされていますが(実際、かなりあくの強い人ですが)、そうした人の発想がかえって特殊な状況の中で突破口を作り出しているなど、いろいろ見えてきます。

そして、滝川義人氏の著作や訳本ミルトス出版のものは良質のものが出ています。

訳本は概して値段が高かったり絶版になっているのですが、英語のできる方は原書をアマゾンなどで購入するのも一つの方法です。

これまでの中東というのは、アラブ・イスラム研究者、しかも左翼的な人による書籍が多いのですが、数少ない信頼できるのは池内恵(さとし)さんの著作です。彼のイスラエルの見方であれば、その批判はアラブ・イスラム研究者側の意見として見れば妥当だと思います。けれども多くの研究者は、彼の言葉を借りると、「「中東めぐる問題」などではなく、なによりも「日本をめぐる問題」」と言うように、自分の日本国内にある考えをただ中東に投影させているだけに過ぎません。

クリスマスを祝わないという人たちへ

クリスマスについて、クリスチャンの間でいろいろな意見が出てきていますね。それが異教から発生した行事であるということで、クリスマスを祝わないという人たちが結構多いです。またクリスマスの商業化に対する反発として、それを祝わないという人もいます。

教会暦の存在を知る

まず知らなければいけないのは、教会は、西方教会(カトリック)、東方教会(正教会)などの、古くからある教派の中で、一年を周期とした典礼を持っており、それを「教会暦」と呼んでいることです。

カトリック教会では主なものは例えば、

待降節 → 降誕節 → 主の公現 → 主の洗礼 → 四旬節 → 過越の聖なる三日間 → 復活節 → 主の昇天 → 聖霊降臨の主日 → 第8主日 ~ 王であるキリストの祭日

となります。

その中で、福音・聖書信仰からは相容れない伝統(マリヤの被昇天等)もありますが、キリストの初臨から再臨までの働きを順番に、行事を通して辿っていくという役割を果たしています。

旧約時代には、イスラエルも例祭(レビ記23章)があり、過越の祭りを始めとし仮庵祭で終わる、祭りを通して主の御業を覚える行事があり、そういった意味から教会が、キリストの働きをある時期に思い巡し、主を礼拝するということはとても良いことだと私は思うのです。

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