イスラエル周辺の地政学の変化

私は、フェイスブックなどで、なるべくイスラエルの経済の好調について話してきました。ITや医療技術を始めとする起業。観光業のうなぎ上りの収益など、イスラエルが「まともな」国であることを示したかったし、何よりも、エゼキエル38章にある預言が基盤にあるからです。

こう言おう。『私は城壁のない町々の国に攻め上り、安心して住んでいる平和な国に侵入しよう。彼らはみな、城壁もかんぬきも門もない所に住んでいる。』あなたは物を分捕り、獲物をかすめ奪い、今は人の住むようになった廃墟や、国々から集められ、その国の中心に住み、家畜と財産を持っている民に向かって、あなたの腕力をふるおうとする。(エゼキエル38:11-12)

エゼキエル書を読むと、イスラエルの回復は段階的であることが分かります。一般の理解では、メシヤが到来するとイスラエルが回復するというものです。確かにモーセが死ぬ直前に預言したのはその通りなのですが、時代を追うごとに神はその完成に至る経緯を詳しくしめしてくださいました。

それは第一に、イスラエルの民が離散の地から帰還する。そして町々ができて、木々が増える(36章)。第二に、イスラエルが帰還するだけでなく、国として復興する(37章)。第三に、イスラエルの国は豊かになり、そこで安全に暮らしているところに、隣接する周辺の敵をさらに外に囲む敵が攻めてくるが、神が救われる(38-39章)。そして、それぞれの章に霊的に復興する最終的な姿も描かれています。けれども霊的復興は、この三つの段階を経た後に与えられるというのがエゼキエル書36-39章の流れです。

現代イスラエルが、したがって聖書預言の中で非常に重要な位置を占めるというのが私の理解です。第一段階は、19世紀の終わりから20世紀初頭にかけて始まり、世界が第一次世界大戦を始めた時が引き金となりました。そして第二段階は、第二次世界大戦におけるホロコーストが契機となり、国際社会がユダヤ人に同情しイスラエルが建国されたことによってかなえられました。

そして今は、第三段階へと邁進しています。次のブログ記事をお読みください。

イスラエルの天然ガス掘削と「ゴグ」預言

参照記事:「イスラエルで新ガス田からの天然ガス輸送開始」「イスラエルが天然ガス産出国の仲間入り

そして、ついに最近、イスラエルと取り引きを結ぶ国々が現れました。

As Israel gears up to export natural gas, major deals signed with Jordan & Australia while negotiations in motion with other countries.(イスラエルは天然ガス輸出を促進準備へ。大規模な契約取引をヨルダンとオーストラリアと結ぶ。さらに他国とも交渉が進行中。)

イスラエルを囲む中東情勢は、大きな地政学の変化を遂げています。むろん、パレスチナ人や周辺アラブ諸国の人々は、イスラエル人に対する屈辱というものはもっており、その民族感情は変わることはないでしょう。しかし、アラブ人と言えどもその国々の成り立ちは大きく異なり、決して一枚岩ではなく、しかし反イスラエル姿勢という他のアラブ諸国への面子を保たなければいけない葛藤をずっと抱いてきました。この葛藤こそが、中東戦争においてイスラエルに負けた大きな原因の一つでありました。

しかし、ここに大きな地政学の変化がありました。イランです。イランはアラブではありません。ここがものすごく大事です。彼らはペルシヤであり、ペルシヤ語を話し、宗教的にもシーア派であり、彼らにとっては遠い存在であります。したがって、イランがイスラエルと深刻な対立をしている中で、サウジアラビアを始め、イランの脅威を深刻に受け止めていたアラブ諸国がイスラエルと共同戦線を張る動きが、水面下で起こっています。

ムスリム同胞団政権がエジプトにできて、一時期、イスラエルとエジプトの関係、特に経済面においてイスラエルは石油の確保において困難を極めました。しかし軍部が多くのエジプト国民と共に(その中にはキリスト教徒も含む)反クーデターを起こしました。過激派は、何とかしてこの動きを壊すべく、治安が手薄になっているシナイ半島を拠点にし、イスラエルへのミサイル攻撃、最近は韓国人のクリスチャンたちが乗車していた観光バスへの自爆テロをイスラエルと接する国境の町タバで行いました。

そして、シリアにおける大規模な内戦において、イスラエルは密かにその負傷者の治療など助けの手を出していましたが、イランが穏健な顔を見せて欧州に向けて発言力を強めているのに対抗して、その活動を公にしつつあります。シリア人たちの間でも、「イスラエルに行けば治療を受けられる」という噂が広まっているらしいです。

イスラエルを祝福するものは祝福される

イスラエルの天然ガスの話も戻しますが、東アジアにおいては、例えば韓国企業が関わっています。

韓国の大宇造船、イスラエルで天然ガス鉱区開発へ

中国は地中海東の天然ガスに関与しているかどうかは分かりませんが、イスラエルとの結びつきは強固であり、ますます促進されています。

中国に後れをとるな! 日本が取り込むべき
イスラエルの「グローバルリーチ力」
ハイテク領域だけではないイスラエルとのオープンイノベーションの可能性

ところが日本は、なぜか1970年代からの思考から抜け出せないでいます。イスラエルに対するアラブ・ボイコットを恐れて、イスラエルを取り巻く地政学の大きな変化に乗り出せないでいます。アラブ・ボイコットの効果の薄れについては、グローバル社会の中では当たり前となっています(参考記事)。アラブ諸国自身が、これは得策ではないと考えており、「表向き」会議を開いている状態で、効果を発揮していません。パレスチナにしても「現実には、西岸地区やガザのパレスチナ人は、イスラエル製品なしには生活が成り立たないし、イスラエル経由でなければ、外国からの援助金も輸入も不可能なのだ。」という指摘の通りなのです(参考記事)。

私は、イスラエルは諸国が神の前でどういうところを通っているかの鏡の働きをしているのではないか、と感じています。「イスラエルを祝福する者は祝福される」という創世記12章3節にある言葉は、その国が神の前でどのような状況にあるのか物語る、その尺度という意味でもあるかもしれないと思いました。日本のために、祈らされます。

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