「お金と信仰」

この本を先週、読みました。
okane_shinko
お金と信仰 高橋秀典著
立川福音自由教会牧師

~ 人は「お金」とどう向き合えばよいのか。
キリスト教会で、あまり語られないこの課題に、元証券マンで現在は牧師として活躍する著者が、聖書から、また日本社会の経済状況から答える。~

以下に、元になっている記事の一部を読むことができます。

雑誌「リバイバル・ジャパン」新連載 お金と信仰
第一回 職業と神の召し

著者、高橋秀典牧師は、フェイスブックでお知り合いになって初めてなのですが、その書かれていることがとても魅力的で、引きこまれる言葉を持っておられることを感じていました。そして、経済やお金の動きにはどうしても疎く、引きこもりがちな私も、現実の世界で生きておられる兄弟姉妹が教会にも集っており、今の経済や政治を、キリスト者としてどのように生きるのか?という問題意識もあり、買いました。

ぜひ、一読をお勧めする本です。

第一印象は、「優しさ」が伝わってくるということです。それは高橋先生のご人格というよりも(もちろん、優れた方だとお察ししますが)、ご自分の知られている神、その関係や、聖書の読み方から流れてくる優しさだと思います。本を読んでいて、個人的に会話してくれているような、不思議な気分になりました。

第二に、この本は今の経済を知っていくということもさることながら、神と人との関係が、経済で起こっていることを通して、鮮やかに見えてくるということです。聖書には、神と人との関係を記すのに、神はいろいろな喩えを用いられます。夫と妻の関係は、その第一の例です。真実な愛について知るには、この関係が分かり易いです。そして昨日の礼拝における、エレミヤ書18章の説教においては、「陶器師と陶器」の関係で説明されています。神が主権者であられることについて、分かり易い例えであります。

けれども聖書には、実に多く、お金を題材にして、神が人にどのように関わっておらえるかについて、語っています。「贖い」という言葉の漢字を見てください、これは貨幣を使った売買に関わることは自ずと分かるでしょう。罪を負うことを「負債」と呼び、その赦しは「帳消し」であります。そして、私たちに任された者を「タラント」という喩えでイエス様は語られ、それを商売で増やすことについても触れられています。「不正な管理人」の喩えについては、本書では多くの頁が割かれており、慧眼でした。さらに、黙示録17‐18章の大淫婦バビロンと、政治的な力である獣の関係についても、人間の歴史や現代社会に当てはめ、深い示唆を与えています。

ここで個々の聖書箇所の解釈については、もちろん私の個人的な読み方と違う部分が出てきます。いや、そうではなく、本書は、一つ一つの聖書箇所の解読ではなく、今現在の世界のあり方を見つめ、そして聖書箇所から汲み出せる原則、つまり適用について話しておられるので、表面的な違いは、ほとんど全く気になりませんでした。

第三に、日本のキリスト者に盲点になっている、いわゆる「暗部」も取り扱っています。希望に基づく生きた信仰ではなく、道徳になってしまっている傾向は、私も兼ねてからずっと感じていました。日本では表面において「優しさ」を身にまとっているけれども、その裏には自己中心性が隠れている場合が多いです。妬みや恨み、非人間性、自己愛、他者依存、同調圧力などの「冷酷さ」というものを、感じます。その一方で、市場原理を堅く信じる著者は、一見、冷酷にさえ見えるそのシステムから、その中にある人間性を汲み出しているところが、とても優れた視点です。

「厳しさ」の中にある「優しさ」

私自身の告白をします。日本のキリスト教会、特に教団系の福音派の牧師の方々には苦手意識を持っておりました。(関連記事:「きちんとした「牧師」の欠け」)「優しい」し「丁寧」なのですが、かえって委縮し、自分は二流クリスチャンだという劣等感を抱いていました。自分がその型にはまらないからです。自分を優しく見つめることができたのは、アメリカにおける教会生活、そして、また韓国や中国の牧師・宣教師や兄弟姉妹との付き合いが非常に大きいです。そして日本にも、単立系の教会の牧師さんたち、そしてもちろん、カルバリーチャペルの仲間とはとても仲良くできています。そういった、自分が日本で神に仕える奉仕者でありながら、自分にその資質があるのかという悩みを、本書は解消してくれるような糸口を見いださせてくれた、思いです。

そして高橋牧師には、「正しすぎてはならない」という、伝道者の書からの著作もあるようで、興味があります。現実の世界を無理に否定せずに、受けとめながら、しかし神の世界の中に生きていく知恵があるような気がする本です。

正しすぎてはならない-Let it Be
伝道者(コヘレト)の書の翻訳と解説

「「お金と信仰」」への1件のフィードバック

  1. 明石 牧師、こんばんは。

    ユニークな本を紹介してくださり、ありがとうございます。
    P48まで読みましたが、私にとってとてもタイムリーな本です。
    これから読み進むのが楽しみです。

    私の妻も私の助言でアメリカドル建て(7年で元本回復、以後2、5%ずつ増えていくので、10~20年後に円安になったときに売り抜けるタイプ)とオーストラリアドル建て(生命保険控除枠で年2%程度存命中にリターンがあるタイプ)の生命保険を購入しております。こうしてディフェンスを固めて、残りは積極的に運用!!

    ニーサ、ジュニア・ニーサ枠内一杯に投資信託を購入。株やFXは素人がやってもハイリスクなので、時間を味方につける方針です。私は非正規雇用の契約社員、年収350万円程ですが、投資信託の分配金が手取り収入を越えてしまってます…。分配金の妻は2割、私は3割
    あちこち献金しております。(昨今の円高で多少の含み損はありますが…)

    12年前の私は死に損なって所持金13円のホームレス、10年前だってドヤ街に住む日雇い労働者だったのに、人生大逆転!!

    神様のなさることは不思議ですね…。

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