韓国・朝鮮関連の書籍 その2

「北朝鮮大脱出 地獄からの生還」宮崎 俊輔著

これはホーラー小説より、恐ろしいと感じました。全体主義の国家がどれだけ恐ろしいのか、私たちが得ている「自由」が空気の酸素のように、「当たり前にはなっているけれども、人間存在のためには絶対に守らなければいけない」尊い価値観であることを知りました。

これも、日本の過去の歴史の清算の過程で、それを利用して悪を行なう者たちに利用された空しい記録です。敗戦後、居残った在日朝鮮人またその家族を北朝鮮に帰還させる「帰国運動」がありました。これを日本政府もマスコミも後押ししましたが、「地上の楽園」と呼ばれていた当地の生活はまさに黙示録の地上の地獄絵の姿でした。

読んでいた時は、ブッシュ大統領が対テロ戦を行なっていました。そして調べていくうちに分かってきたのは、韓国内での対北強硬派、米国内の強硬派の急先鋒には、これらの亡命者らが数多くいるということでした。「自由」という酸素の重要性を一番知っている人々です。

「北朝鮮拉致工作員」安 明進著

同じく北朝鮮国内事情の話です。こちらは底辺で苦しんでいた人ではなく、エリート層で何が起こっていたかを知ることができます。けれども、こちらもあまりにもおぞましい姿を見てしまいました。究極の物質主義、唯物論の中で、人間そのものも武器の一つとして非人格化されていく過程を読みました。

ちなみに彼は、金賢姫と並んで日本人拉致事件の解明に向けての道を切り開いた人です。そして卒業した工作員養成大学では彼女の後輩に当たる人です。ですから、金賢姫の「いま、女として」をまず読まれると、時間的な流れを追っていくことができると思います。

そして彼は、麻薬所持と密売でいつしか逮捕され、日本国内では彼の証言そものに対する疑問が出てきました。けれども政治的謀略の中で起こった逮捕であることを、拉致事件に取り組んでいるジャーナリストが明かしています

「収容所に生まれた僕は愛を知らない」申 東赫著

北朝鮮内にある強制収容所の実態の記録です。以前「強制収容所」の看守であった安明哲の本を立ち読みして、あまりにもおぞましくて読むのをやめた覚えがありますが、この本は強制収容所で生まれて囚人として育った本人の証言です。安明哲氏の話は創作であってほしいという思いがありましたが、やはり事実であると確認しました。

ナチスによる強制収容所の話はその残虐性は世界に知れ渡っています。けれども現在進行形でそれと類似することが、まさに東京から飛行機で2時間程度しか離れていないところで起こっているのです。そして共産圏で起こっている犠牲者数のほうが、ナチスのよりもはるかに上回っているという統計もあります

ここから私は、「国際世論」というもの、マスコミの一般情報に対する公正さを疑い始めました。イスラエルを取り巻く情報は前から歪んでいることは知っていましたが、この世全体が歪んでいるのだと分かりました。「善」を主張している人々があえて取り上げない「悪」があるのだと、そしてその悪と戦っている人たちを悪人よばわりする事実です。イザヤ書の「悪を善、善を悪と言っている者たち(5:20)」の世界です。

ところでブッシュ米大統領が、なぜ北朝鮮を悪の枢軸国に入れたのか、その原動力になった本が「平壌の水槽―北朝鮮地獄の強制収容所」(姜 哲煥著)と言われています。彼は最も人気のない米大統領にされたみたいですが、彼についての再評価が必要でしょう。

「韓国・朝鮮関連の書籍 その2」への2件のフィードバック

コメントは停止中です。