殉教者の叫び (北朝鮮)

以前「金日成とキリスト教」という題名で、朝鮮半島のキリスト教と北朝鮮が強く結びついていて、北朝鮮には地下教会が今でも存在する話をしました。今、ここで改めて、飛行機で東京から飛んだら二時間で到着する近い隣国、北朝鮮のことをお話したいと思います。

金正恩は政権を掌握してから、対外宣伝政策を取りました。数多くの外国人を平壌に招きました。そのことによって、対外的に北朝鮮が開放政策へと向かっているという印象を与えるのに成功しました。訪問した人々の口から、「北朝鮮は変わった」という声がどんどん聞こえてきました。特に知識人と言われている人々が、ころころ騙されています。

北朝鮮は金日成死後、金正日支配体制の中で1990年代に大規模な飢餓が発生しました(ウィキペディア)。なんと三百万人ぐらいが死んだと言われています。「苦難の行軍」というスローガンを掲げた時期です。その苦難の時期は過ぎ去ったという偽りの印象を、平壌に訪問した人々に植え付けることに成功したのです。

しかし現状は正反対です。まず、中朝国境地域はこれまで以上に統制と管理が厳しくなっています。そして、これまでとは違う地方で、90年代と等しい飢餓が大発生しています。

特集[2012黄海道飢饉]穀倉地帯で発生した大量餓死(1) (2) (3) (4)

そして強制収容所の実態は何ら変わっていません。ぜひウィキペディアの「強制収容所(北朝鮮)」を一読してください。そして「元収容者・元警備兵の著作」を一冊でも読まれるとよいと思います。(私は「収容所に生まれた僕は愛を知らない」申東赫著を読みました。)今は15万人から20万人収容されていると言われています。

そして次からが大切です。こうした悲惨な状況の中で、必ず出てくるのが「キリスト者」の存在です。脱北者を描いた最高傑作の映画「クロッシング」には、キリスト教との関係が撚糸のように折り込まれています。

そしてこのような人々が、連れていかれるのが強制収容所であり、その中でも一度入ったら二度と出ていくことのできない完全統制区域の中に一部が入れられます。その一つ、「耀徳強制収容所」についての説明の中で、罪状の一つにしっかりと「キリスト教信者。その中で他の人にキリスト教を信じるように勧誘した者は銃殺に処せられる。」とあります。そして最近、韓国で出版された、強制収容所から脱出した人々によるスケッチ集が出版されました。そこにある一つが下です。

宗教活動を行ったとして絞首刑となった女性」という説明があります。これはもちろん福音伝道をした人のことです。

そして次の記事をお読みください。

北朝鮮のキリスト教信者たちは今

この中に北朝鮮のキリスト者がどのような日常生活を送っているかの詳細な証言が記されています。その中に、北朝鮮の公認教会への言及もあります。中国の公認教会については多くの方が聞いたことがあると思います。そこにはイエス様を本当に信じる人々もおり、最近の中国は少しずつ変わっており、しっかりとした教会も多くなっています。ですから必ずしも偽物ということではありません。しかし北朝鮮は、まるっきり違います。

思いっきり騙されて、インターネット上で人気のあるジャーナリストの記事「北朝鮮で考えた(3) 田中宇」があります。まるで北朝鮮の宣伝塔のようです、完全に騙されています。(田中宇氏の情勢ニュースについてははじめから陰謀論で結論を決めていて、「それに見合う情報をテキトーにネットサーフィンして見つけだして切り貼りしているだけ」という、評価を受けています。中東情勢は、初めから結論が分かるドラマのように必ず「アメリカ」そして「イスラエル」の陰謀になっています。)

ここが大事なのですが、「当局はキリスト者のふりをすることができるのだ。」ということです。彼らはプロです。信者であっても騙すことのできるほど上手であります。それによって内部にまで浸透して、情報を収集するのです。北朝鮮の場合はもちろん全てがダミーで、目的は外国の教会への浸透であり、日本にある教会にも浸透しています。

決して北朝鮮を特定して叫びたくはありません。日韓関係、日中関係に関してマスコミのニュースが湧き上がり、このように隣国がとんでもない飢餓状態、そしてキリスト者が大迫害を受けているのに無関心を装っている雰囲気、そしてその背後にある悪魔の策略に対して、私は以下の殉教者たちの叫びが聞こえてきます。

小羊が第五の封印を解いたとき、私は、神のことばと、自分たちが立てたあかしとのために殺された人々のたましいが祭壇の下にいるのを見た。彼らは大声で叫んで言った。「聖なる、真実な主よ。いつまでさばきを行なわず、地に住む者に私たちの血の復讐をなさらないのですか。」(黙示録6:9-10)」主は必ず、ご自分の激しい怒りをこの地上に下されます。地上には必ず大患難が来ます。

最後に紹介したい映像が、東京基督教大学での模擬授業です。「北朝鮮のキリスト教」という題名で、西岡力教授が講義されています。