ロシュ・ハシャナ

イスラエルからのニュースには、イスラエルが今、ロシュ・ハシャナを祝っているという知らせがやって来ます。ロシュとは「頭」で、「シャナ」は年を表します。これはユダヤ暦の新年です。ちなみに今年は9月28-30日に祝っているそうです。聖書には、宗暦(religious calendar)で第一の月が過越の祭りですが、政暦(civil calendar)はレビ記23章にある、「ラッパを吹き鳴らす日」が新しい年を告げています。

「イスラエル人に告げて言え。第七月の第一日は、あなたがたの全き休みの日、ラッパを吹き鳴らして記念する聖なる会合である。どんな労働の仕事もしてはならない。火によるささげ物を主にささげなさい。」(24-25節)

この日から秋の祭りが始まり、ここでの主題は「へりくだりと悔い改め」です。第十日は贖罪日(ヨム・キプール)ですが、その時は「身を戒める(32節)」とあります。これは断食することです。そして第十五日には仮庵の祭りがあり、神の贖いの完成を喜ぶ祝いが行われます。

「シオンで角笛を吹き鳴らし、わたしの聖なる山でときの声をあげよ。この地に住むすべての者は、わななけ。主の日が来るからだ。その日は近い。(ヨエル書2:1)」
「「しかし、今、・・主の御告げ。・・心を尽くし、断食と、涙と、嘆きとをもって、わたしに立ち返れ。」
あなたがたの着物ではなく、あなたがたの心を引き裂け。あなたがたの神、主に立ち返れ。主は情け深く、あわれみ深く、怒るのにおそく、恵み豊かで、わざわいを思い直してくださるからだ。(同12-13)」

ロシュ・ハシャナは、新約時代の教会にとっては、主の来臨の合図となります。

「主は、号令と、御使いのかしらの声と、神のラッパの響きのうちに、ご自身天から下って来られます。それからキリストにある死者が、まず初めによみがえり、次に、生き残っている私たちが、たちまち彼らといっしょに雲の中に一挙に引き上げられ、空中で主と会うのです。このようにして、私たちは、いつまでも主とともにいることになります。(1テサロニケ4:16-17)」

私たちは、主にお会いする用意ができているでしょうか?

「あなたがたは、今がどのような時か知っているのですから、このように行ないなさい。あなたがたが眠りからさめるべき時刻がもう来ています。というのは、私たちが信じたころよりも、今は救いが私たちにもっと近づいているからです。夜はふけて、昼が近づきました。ですから、私たちは、やみのわざを打ち捨てて、光の武具を着けようではありませんか。(ローマ13:11-12)」

(参照:イスラエルの文化 祭りと祭日

イスラエル人の本音を日本人が話す

イスラエルについて考えるとき、他の国の人々について考えるときもそうですが、なるべく自分のレンズ、日本のレンズを外して等身大の姿を見ようと努めています。それで役に立つのが、在イスラエル日本人のブログです。意外にたくさんあります。その中で、今回のパレスチナによる国家独立申請をどう見ているか、その一例をご紹介します。

この方のプロフィールや他の記事を見る限り、特定の政治思想を持っているわけでもなく、ごく一般の人という感じですが、それだけ常識的な見方を知ることができます。

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ノープラン

たとえば。                                   
その地区の住民の大多数が生活保護を受けていて、失業率が圧倒的に高く、住民の多くが密輸した不法武器を持ち、頻繁に暴動やテロや誘拐騒動を起こすため、警察や機動隊が頻繁に介入して取り締まりせざるを得ない。
そんな治安が最悪な危険地域が、平和な日本国内の某市某区内にあるとしよう。

その某市某区の某地区が、「独立した地方公共団体になりたい」と言っている。
理由は、「市の締め付けが厳しすぎる。われわれは独立した市になりたい」と。

この地区の内部は、揉めに揉めている。
【現状打破派】は、その前身は過激派だったがいつまでも生活保護で暮らせないから将来を考えようという派で、表面上の治世を担当している。地区長はこの派閥に属している。
だが、地区の内情はマフィアの如き【過激派】の勢力が圧倒で、住民投票をすると過激派のほうが多く票を集める。

【現状打破派】の中にはマトモな生活をしたい者もいるが、生活保護は据え置きで働く気が全くない者が大半を占めている。ピラミッド頂点の一握りの富裕層はともかく、それ以外は自分達の社会では仕事がないため、近隣市で働いてどうにか生計を立てている。
【過激派】は、あらゆる利権を掌握しており、その勢力を拡大することしか頭になく、生活保護を受けている貧困層にばら撒くことで支持を得ているだけ。生活保護を悪用した悪徳商法も横行している。

どちらの勢力にしても、今後の指針もプランも全くない。話し合ったことがない。
市から独立してどうやって地方財政を賄っていくのか?と問われても、答えることができない。
何かといえば、「うちは食べるものがないのに、市が締め付ける」、「私は病気で働けないのに生活保護が足りない」、「子供がお腹が空いて泣いている」、「家もない何もないのないない尽くし」と、可哀想で貧しい人達が全面的にテレビに出る。現状打破派や過激派の上層部の横領・腐敗は、一切映し出されない。
ボランティアのNGO団体は、彼らにせっせと食べ物を支給し薬を与えるが、実のところ、NGO団体は過激派の支配下で、NGOが作った病院や学校や支援施設は過激派のアジトとなっており、過激派と結託したボランティアスタッフも甘い汁を吸える仕組みになっているため、いくら何を支援したところで何の進展も進歩もない。

こんな危険な地区が日本国内にあるとして、市として独立させたらどうなるだろう?

イスラエル国民の大多数が、パレスチナが独立するならしてほしいと思っている。
入植入植というが、入植を善しと思っているのはほんの一部であり、入植地から撤退するべきだと思っている国民のほうが圧倒的だ。
彼らがイスラエルに一切頼らず、お互いに干渉せず、行政も通貨も流通も治安維持も何もかも、独立して勝手にやってくれるならそれが一番だ。けれども、何のビジョンも将来の指針もない状態でパレスチナを独立させたらいったいどうなるか。
生活保護と膨大な援助でどうにか食いつないでいるだけの地区が「独立した国」になったら、いったいどうやって国として施政し、財政を賄っていくのか。くどくどとその憶測を書く必要もないだろう。

大事なのは土地ではない。
土地だけはあってもロクでもない国はいくらでもある。横暴な施政で国民が飢餓に苦しむ国はたくさんある。そんな国を増やしたところで、世界の負担になるだけだ。
入植者がパレスチナの内紛や貧困や腐敗の原因なのか? イスラエルが入植地から撤退したら、パレスチナはその日から国として機能し、国民が健全な生活を遅れるのか? 
それは、あの狭いガザで実証済みだ。

順番としてやることは

 ①内部紛争をどうにかすること
 ②イスラエルへの暴力行為・テロ・誘拐を完全に止めること
 ③世界の支援を受けなくても生活できる社会を作ること
 ④国としての将来的な明確な指針を提示すること

これらの具体案を提示してから、国連に申請するべきでしょう?
というか、国連がこれらを全て独立条件としてパレスチナに提示し、その具体案や解決案を内部で話し合わせ、その答えを持ってから国連に来させるべきでしょう? その順番が完全に逆だ。
第一、国連で自分達の将来に関して世界の代表が話し合っているという当日、国境でイスラエル警備隊に向かって火炎瓶や石を投げ、イスラエルとアメリカの国旗を踏みつけて燃やすような人達を、国として独立させるべきなのかどうか、ちょっと考えたら分かるだろう。

蛇足ながら、昨日のアッバス演説に関して、日本の報道では「パレスチナ演説・大絶賛・拍手鳴り止まず」と書かれていますが、パレスチナ側からは、「過去に語り尽くされた古い内容」「弱腰」「何も伝わっていない」「完全に失敗」と評価されています。(笑)。

ああそれから、ついでだけど。
よく、日本の新聞などで「XX新聞のエルサレム特派員」という全く信用ならない怪しげな人達が、どこかで誰かからたまたま聞いた「イスラエルとパレスチナの美談」を取り上げ、「こういう交流がもっともっとあれば、仲良く共存できるのに」とお決まりのフレーズで締めくくっている。

だったら言っとく。
その手の話はイスラエルに溢れかえっている。
美談でもなんでもない。イスラエルで普通に生活していたらよくある話だ。
いちいち書かないだけで、こんな山奥の田舎で暮らしている私でも頻繁に身近で聞く話であり、また、仕事上でも頻繁に取り扱う当たり前の事柄である。そしてその共存は、全てイスラエルの法律に則ったものである。

つまり、もう「仲良く共存」しているのだ。
現状維持をしていたら、これ以下になることはない。

だが彼らが「今の状態」で独立したら、彼らの国民にどんな生活が待っているか。
少なくとも、今より悪くなることはあっても、今よりよくなることはない。
それでも彼らはそれを望み、世界はそれを強いている。

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いかがでしょうか?私も痛快というか、日本がいかにイスラエルとパレスチナを見ていないかを炙りだしてくれるような文章です。

参照記事: 「パレスチナ国家独立について」「イスラエル首相ネタニヤフ氏による国連演説」「和平プロセスの真実

ハイテクのイスラエル

続けてイスラエル・ネタですが、私がイスラエル旅行のことについて質問を受ける項目のNo.1は、「旅行に行って、危険ではないですか?」です。10人に9人はこの質問をします。私は、これが残念でしかたがありません。以前、「イスラエル人とは何か」という本を紹介しましたが、「普通ではない国で普通に生きようとしている人々」という副題が付いており、中東で唯一、私たち先進民主主義国の日本と親和性のある国はイスラエルであり、旅行すれば治安や利便性において最もほっとできる所です。

今日もニュースで、グーグルの検索技術を作ったイスラエル人オリ・アロンが、今度はツィッターの検索エンジンを売っているというニュースを見たばかりで、世界屈指の技術先進国であります。以下の会社の回し者ではないのですが、中に入っていただければイスラエルがいかに先端技術で優れているかがわかります。

その中にありますが、マイクロプロセッサ、ファイアウォール、Windows XP、フラッシュメモリ、インスタント・メッセンジャー ICQの技術、ボイスメール、ケーブルテレビ用端末などのIT、電子技術を始め、レーザー誘導ミサイル等の軍事技術、CTスキャナ、DNA分析器、腫瘍破壊技術、カプセル内視鏡などの医療技術も優れています。そして砂漠の中の国だけあって、農業先端技術や環境技術は断トツです。今、日本では切実な課題である代替エネルギーについても、四国より少し大きい国でのエネルギー源獲得のためにものすごい発達しており、太陽光パネルの有名な会社もあります。

上のサイトでも紹介がありますが、「知られざる技術大国イスラエルの頭脳」という本があるようです。私も、図書館でいつか借りてみようと思います。

和平プロセスの真実

イスラエル首相ネタニヤフ氏による国連演説」に引き続き、イスラエルとパレスチナの和平プロセスを説明したビデオを紹介します。説明しているのは、イスラエル外務副長官のダニー・アヤロン氏です(ちなみに、彼の奥さんがアメリカ人の福音派クリスチャンというのは有名です。)このYoutubeビデオで嬉しいのは、日本語の字幕が出ることです!画面下のCCを押せば日本語(Japanese)を選択することができます。

このビデオと共に、背景知識として次の情報を読まれるとよいかと思います。

イスラエルの歴史 建国とその後の歩み

イスラエルの歴史 和平への歩み

イスラエル首相ネタニヤフ氏による国連演説

 現在、ニューヨークで国連総会一般討論演説が進行中です。

 イラン大統領のアフマディネジャドが演説を行い、次の日パレスチナ自治政府のアッバス議長が演説を行いましたが、ネタニヤフ首相がその同日、23日に行いました。

全文と動画(イスラエル外務省サイト内)

彼の政治人生において、また現イスラエル国にとっても最も重要な演説の一つだったことでしょう。彼は、かつてイスラエルの国連大使を務めたことがあり、それゆえに重層感のある主張と反駁を展開させています。重要な点を列挙します。

・ イザヤ書9章から「死の陰の地に住んでいた者たちの上に光が照った。」を引用し、「この光が和平の光となるようにしよう。」と呼びかけた。(メシヤ到来の有名な聖句です。)
・ イスラエルは、ユダヤの民にとって「古の聖書的郷土」であることを説明。
・ パレスチナ人との和平を達成する方法を説明。
・ 遅すぎないうちに、イランの核兵器取得を阻止することを促す。
・ 国連は、平和と安全のために尊厳をもって働く、優れた外交官がその中に多くいる一方で、極めて頻繁に「嘘の家」であり「愚の劇場」である。

鍵となる引用

・ 私は今、いささか数分であろうとも、我が国にとって長いこと暗黒の場であった会場に真実の光が輝くことを願っています。ですから、私はイスラエルの首相として、拍手喝采を得るためにここに来たのではありません。真実を語るためにここに来ました。真実とは、イスラエルが平和を望んでいるということです。真実は、私が平和を望んでいるということです。真実は、中東においては常に、特にこの騒然とした時に、平和を安全保障という錨でしっかりつなぎ留めておかねばならない、ということです。真実とは、和平が国連決議を通じて達成できるものではなく、当事者間の直接交渉によってのみ達成できるということです。真実は、これまでのところパレスチナの人々が、交渉を拒否してきたということです。真実は、イスラエルはパレスチナ国と和平を得たいと思っているが、パレスチナは和平なしの国家を欲しているということです。そして真実は、あなた方はそのことを放置してはならない、ということです。

・ まさにここ(国連)で1975年に、長い歳月を経た我が民の熱望が、古の聖書的郷土における民族的生活を回復させたいという切望が、その年に、恥ずかしくも人種主義という烙印を押されました。そして1980年、まさにここで、歴史に残るイスラエル・エジプト平和条約が称賛されるのではなく、弾劾されたのです!ここでイスラエルだけが、何年も、不正に非難の標的にされました。世界の他の諸国を全て合わせても、イスラエルが最も非難を受けているのです。二十七の国連総会非難決議のうち、二十一が、中東で唯一の民主主義国であるイスラエルに対するものです。

・ これは愚の劇場であります。イスラエルが悪党に仕立てあげているのみならず、本当の悪党を指導的な役目として、しばしば仕立てあげています。リビアのカダフィが、国連人権委員会の議長を務めました。サダム政権下のイラクが、国連軍縮委員会の長だったのです。「それは過去のことだ」とおっしゃるかもしれません。そうでしょうか、今、たった今、これが起こっているのです。ヒズボラの支配下にあるレバノンが、今、国連安保理の議長になっています。つまりは、テロ組織が、世界の安全保障を担保するよう任じられている組織の座を占めているのです。こんなことを作り上げることは到底できません。

・ 東西間に今、その全ての平和を脅かす憎悪が増えてきています。これは、解放するのではなく虐げることを求め、建て上げるのではなく、破壊することを目的にしています。その憎悪とは戦闘的イスラム教です。これは、偉大な信仰という衣を着て見せてつけているけれども、ユダヤ人、クリスチャン、ムスリムを見境なく、赦しがたい偏見でもって殺害しています。9月11日に、何千人ものアメリカ人を殺しました。あのツインタワーを、煙がくすぶる廃墟とせしめました。昨夜、九・十一の記念碑に花輪を残しました。心が動かされました。けれども、そこに行くにあたり、私の思いには一つのことが響き渡っていました。この演説台から発せられた、イラン大統領による悪逆無道な言葉です。彼は、九・十一をアメリカの陰謀だとほのめかしました。あなた方のうち何人かはこの会場から出てゆきました。全員が出て行くべきだったのです。

・ 国際社会は、遅すぎないうちにイランを止めさせなければいけません。イランを阻止できなければ、私たちは皆、核テロリズムを目撃することを余儀なくされるでしょう。そして「アラブの春」はたちまち「イランの冬」になるでしょう。イスラエルを取り巻く世界は、さらに危なくなっています。戦闘的イスラムは既にレバノンとガザを乗っ取りました。そして、イスラエルとエジプト間の平和条約と、イスラエル・ヨルダン間の平和条約を引き裂くことを決意しています。多くのアラブ人の思いに、ユダヤ人、イスラエル、アメリカ、西欧に対する憎悪を吹き付けました。それは、イスラエルの政策に反対しているのではなく、イスラエルの存在そのものに反対しているのです。

・ イスラエルは2000年、パレスチナの要求をほとんど全て呑んだ、破格の和平の申し出を行いました。アラファトは拒否しました。それからパレスチナ人は、千人のイスラエル人の命を取ったテロ攻撃を開始しました。オルメルト首相はその後2008年、さらには破格の申し出をしました。私たちは領土を実際に手放したのです。アッバス大統領は反応さえ示さなかったのです。しかし、イスラエルはさらに破格の申し出をしました。2000年にレバノンから撤退し、2005年にガザからは一平方インチも主張することなく、全域から撤退したのです。これでイスラムの嵐、私たちを脅かすイスラムの嵐は静まることはなかったのです。このことによって、その嵐はますます接近し、強大になってきたのです。

・ イスラエルのユダヤ人国家は、少数民族の権利を常に守ります。そこには、イスラエル国籍を持つ百万人以上のアラブ人が含まれています。私は、同じことをパレスチナ国家に言えればよかったのに、と思います。なぜなら、パレスチナの役人は先日、― 実は彼らはここニューヨークにやってきていますが、― パレスチナ国家にはただ一人のユダヤ人も受け入れないと言ったのです。つまり、ユダヤ人追放、ユダヤ人フリーだというのです。これこそ民族浄化です。今日、ラマラ(訳注:自治政府の首都)には、ユダヤ人に土地を売却するならば死罪に値するという法律があります。これこそ人種差別です。この法律が何を想起させるかはお分かりでしょう(訳注:ナチスの定めた法律のことです)。

・ アラブ人の古くからある諺で、「片手で拍手喝采することはできない」というものがあります。和平でも、同じことが言えます。私は独りで平和を造ることはできません。アッバス大統領、私は私の手を差し出します、イスラエルの和平の手を差し出します。あなたがこの手を握ってほしいと願います。私たちはどちらもアブラハムの子なのです。我が民は、彼をAvrahamと呼びます。あなたの民は彼をIbrahimと呼びます。同じ族長を持っているのです。同じ土地に住んでいるのです。私たちの運命は織り交ぜられているのです。イザヤの幻を実現しましょう、「死の陰の地に住んでいた者たちの上に光が照った。」
(参照記事: NETANYAHU COMES TO U.N. TO SPEAK THE TRUTH: ISRAEL WANTS PEACE, BUT THE U.N. IS THE “THEATER OF THE ABSURD”

【補足】
 イラン大統領、アフマディネジャドによる国連演説全文を私は読みましたが、実に酷いものでした。 次は演説の要約ですが、日本語のイラン・ラジオの記事で読むことができます。 → 国連総会でのイラン大統領の演説

 彼は、イスラムの終末である「マーディが、イエス・キリストとともに再来する」と言っていますが、その他は世界に流布している反米主義を寄せ集め、翻案しているだけです。世界の不平等と暴力の全てを、欧米ことに米国が引き起こしたものとする極左思想を取り入れ、「ホロコースト」の捏造、「シオニズム」の悪魔化などの陰謀論もたくさん取り入れています。九・十一もアメリカの陰謀であるとほのめかしています。そして、「共同と集合の世界管理」という言葉を頻繁に使い、新世界秩序すなわち世界政府を強調しています。

 まさに、聖書が終わりの日に起こると告げる、反キリストの台頭を体現するような発言です。

 けれども、私が空恐ろしいと思ったのは、彼が取り寄せた流布している思想というのは、実は、世界の数多くの人々に断片的に受け入れられ、信じられているという事実です。イスラム過激主義が今、元々反イスラエル感情を抱いていたアラブ人やイスラム教徒に、イスラエルという存在に対する潜在的憎悪を注入していると同じように、私たちが漠然と抱いている反感や怒りを利用して、危険な思想を私たちの思いに毒のように注入しているのです。

 アフマディネジャドには、欧米の帝国主義を非難する資格など微塵たりともありません。国内の改革派を武力で押さえ込み、十代の少女にさえ拷問を加えることを控えず、蹂躙の限りを尽くしています。そして核兵器開発を異常な速度に推進し、それをイスラムのマーディ到来のために、イスラエルとアメリカに使用することさえ明言しているのです。

 そしてアッバス議長もイスラエルを非難する資格はありません。自治政府を批判する人々を逮捕するなど、国連総会演説にあった「アラブの春」から「パレスチナの春」などよく言えたものです。

 真に苦しみを受けている「声なき声」を聞き取ることのできる人になりたいと願います。

イスラエル大使に退去要求 トルコ

このごろ、連日のようにイスラエル周辺情勢をここに書き込んでいますが、めまぐるしく動いています。先ほど目にしたニュースを紹介します。

[イスラエル大使に退去要求 トルコ]
 トルコのダウトオール外相は2日記者会見し、昨年5月のガザ支援船急襲事件で正式な謝罪を拒否したイスラエルの駐トルコ大使に国外退去を要求した上で、外交関係を見直し、軍事面の協力関係を凍結すると発表した。
 事件で冷却化した両国関係は急速に悪化、中東全体の安定をも損ないかねない情勢だ。イスラエルのネタニヤフ首相は主要閣僚による緊急閣議を招集した。
 支援船事件をめぐり、国連の潘基文事務総長が任命した調査委員会は1日までに、イスラエル軍の武力行使は「過剰だった」としながらも、支援船側から「組織的、暴力的な抵抗」があったとし、イスラエルの主張を大幅に取り入れた報告書をまとめた。トルコは報告書提出までに謝罪するようイスラエルに要求していた。(共同)
(http://sankei.jp.msn.com/world/news/110902/mds11090220060008-n1.htm)

イスラエルが国交正常化している周辺諸国は、「エジプト」と「ヨルダン」、そして「トルコ」です。トルコとは軍事協定を結んでいたので、イスラエルの安全保障にとってはその関係が死活的になっています。

ところが、以前、下の二つの記事でご紹介したように、トルコがイランやイスラム諸国に急接近し、そしてイスラエルに対してあからさまな怒りを表明しています。

ガザ支援船(?)拿捕事件 - トルコの怒り
ガザ支援船(?)拿捕事件 その2 - We con the World

トルコとの関係が断絶すれば、イスラエルは上の記事の地図にあるような、敵対する周辺諸国に取り囲まれるようになります。エゼキエル38章の、イスラエルを攻撃する預言絵図です。ロシア(ゴグ、マゴグ)、ペルシャ(イラン)と並び、トルコは、ゴメルとベテ・トガルマとして登場します。

ところで周辺のアラブやイスラム諸国にある、イスラエルに対するあの怒りと憎しみ、そしてそしりは尋常ではありません。みなさんも「怒り」や「憎しみ」に満たされることのないよう、自分の心を見張りましょう!その背後には悪魔がいます。終わりの日は、私たちの心に寛容さと平和と、愛、慎み深さが要求されます。

(9月6日後記)
なんとトルコは、イスラエルとの外交・軍事関係に強い制限を課したと同時に、エジプトとガザに接近しています。
Turkey to sighn strategic alliance with Egypt

パレスチナ国家独立について

中東情勢について、今、忘れてはいけないのは、パレスチナ自治政府が9月20日に「パレスチナ独立国家」の承認を国連に求める問題です。すでに、「NHKの偏向報道」において触れましたが極めて非現実的な試みであります。

ハーベストタイムのメールマガジンの最新号でも、このことを指摘しています。

パレスチナの独立国家建設

私が以前指摘していたのとほぼ同じことを述べています。

(1)パレスチナ側は、独立国家になる準備がまだできていない。特に、テロの完全放棄が為されていない現状で、国際社会がその正当性を認めるなら、将来に禍根を残すことになる。
(2)ハマスとファタハの権力闘争が依然として続いており、平和的に国家運営を行える状態にはなっていない。
(3)国家運営に必要な経済基盤は、国際社会からの援助金である。また、経済活動の面でも、イスラエル経済に全面的に依存している。
(4)パレスチナ国家の独立に強硬に反対する声が、パレスチナ人自身の中にある。反対の理由は、パレスチナ国家の独立を宣言することは、イスラエル国家の存在を認めることになるからだという。

そして、イスラエルからのメールとして、承認されるか、されないかに関わらず、暴動や新たなインティファーダが起こる可能性が高いということです。

もう一つ紹介したいのは、「パレスチナ世論調査の結果は非平和的」という記事です。

たとえば、パレスチナ人に向けた『ニ国家解決案』については、34パーセントが賛成と答えながらも、それはワンステップであり、最終的にはパレスチナ国家だけが、残るというものだった。
 エルサレム市については、92パーセントがパレスチナの首都であるべきだと答え、1パーセントがイスラエルの首都、3パーセントが両国の首都、4パーセントが国際都市と答えている。
 イスラエルのエルサレムに関する歴史についても、72パーセントが嘘だとし、62パーセントが人質を支持し、53パーセントが学校で子供たちに、反イスラエルの歌を、教えることを支持している。
 イスラエルを打倒するためには、80パーセントがアラブとイスラム諸国から支援を受ける必要があるとし、73パーセントがユダヤ人を殺す必要があるとしている。
 そして、パレスチナ問題の解決には45パーセントが、ジハード(聖戦)が必要だとしている。パレスチナ人は65パーセントが交渉によって、問題を解決すべきだとし、20パーセントが戦いによって、解決するべきだとしている。

これは、イスラエル情勢を見てきている人々にとっては、ずっと前から分かっている結果ですが、イスラエルが強硬なのではなく、むしろパレスチナが強硬なのです。しかし、こうした内部の現実があったとしても、ネタニヤフ首相が、「ユダヤ人国家を認める、ということだけを言ってほしい。」と、二国案に対してアッバス首相に訴えて、譲歩しているのです。(後記:アッバス議長は明確に、『私はユダヤ人国家を承認しない。』と言いました。二国案ではなく、相変わらず一国案(ユダヤ人を追い出しすべてをパレスチナ国家にする)なのです!)

けれども、この対面式世論調査は興味深い側面を見せています。

 国連によるパレスチナ国家の承認については、64パーセントが賛成しており、そのうちの57パーセントが、ヨルダン川西岸地区住民、ガザ住民の間では、79パーセントが支持している。
 その結果として、国連への働き掛けが、パレスチナ国家を実現する、と考えている人たちが37パーセント、16パーセントが逆効果、44パーセントは何の変化も無いと考えている。
 マハムード・アッバース議長に対する要望では、83パーセントが雇用機会の創出、国連承認が4パーセント、2パーセントが和平交渉の継続、ということだ。

 国連への働き掛けに対して一番多いのは「何の変化もない」であり、盛り上げてはいるものの、現実はそう甘くないということも心得ているようです。そしてもっと切実な問題は、国連承認よりも「仕事をくれ!」ということであり、これが私にとって、民族的誇りにまさる現実的訴えであると考えています。

明日の飯が一番気になる

 ベイルート通信というサイトの記者の人も「イスラエル」と「パレスチナ」の対立をこう説明しています。

世にいう「イスラエルとパレスチナの対立」です。
 メディアに頻出するこのキャッチフレーズのおかげで、イスラエル人とパレスチナ人は不倶戴天の仇敵であるかのような印象を抱く人は少なくないでしょう。
 しかし、いわゆるイスラエル人=イスラエル国籍保有者のうち、およそ5人に1人は「イスラエル・アラブ」、つまりユダヤ人ではなく、パレスチナ・アラブ人なのです。
 さらにこの「イスラエル・アラブ人」の中には、ドルーズ教徒や一部のベドウィンのように、イスラエル建国以来、イスラエルの兵役にすすんで参加し、他の「イスラエル・アラブ」と対立する人々も居ます。

 また、ヨルダン川西岸地区にあるイスラエル入植地の問題があります。
この入植地のほとんどは、1967年の占領後に、物理的にイスラエルが領土的妥協出来ないように、つまり占領地領有の既成事実をつくるために、政策的に建設されたものです。
 従って、「入植地は和平の障害」という表現は正しいと言えるでしょう。
 ただ、同時に、イスラエルの封鎖政策によって収入源を断たれた西岸地区住民にとって、皮肉なことに入植地での労働が貴重な雇用機会になってしまっているのも事実なのです。

 「イスラエルとパレスチナの対立」という図式や表現にこだわると、見落としてしまう点がたくさん出てくることが理解していただけると思います。

「イスラエル残滅!」と叫んでいるハマス支持者が、次の日にはユダヤ人の入植地住宅建設の仕事に出かける、ということは、彼らの頭の中では矛盾なく行なわれている事でしょう。また、イスラエル国籍を持っているアラブ人で、パレスチナ国家設立後、国籍を変えようと思っている人はほぼ皆無だと聞いています。理由は、「仕事がないから」あるいは「生活水準が一気に落ちるから」です。

いずれにしても、国連承認前後のインティファーダは第二次の結果を見てのとおり、イスラエルのみならずパレスチナにとっても酷い禍根を残すでしょう。主の憐れみによって、そのような暴挙に出ないよう祈るのみです。

エイラット近郊テロ事件

遅まきながら、8月18日、イスラエルの南端の町エイラット近郊で起こったテロ事件から、今のイスラエル周辺状況についてお話ししたいと思います。

まず、何が起こったかについて

*イスラエル南部で複数のテロがあり7人が死亡、31人が負傷した。最初のテロでは乗客でいっぱいのバスに大量の銃弾が撃ち込まれた。国防軍が駆け付けテロリスト7人をその場で射殺。(「シオンとの架け橋」ニュースから)

テロリストは、ガザ地区にいる過激派が、シナイ半島、つまりエジプト領経由でイスラエルに侵入、そして、おそらくは目的はイスラエル兵を誘拐するためではないかというものでした。そして、イスラエルは首謀者への制裁のためにガザ地区を攻撃、それに対してハマスが応酬し、イスラエル領にロケット弾を撃ち込んだ、という経緯になっています。

拙ブログで、「エジプトの騒乱 - 危険な振り子」そして「エジプト軍最高評議会下のエジプト」でお話しした通りのことが起こっているので、確かに不穏な動きになってきたと思いました。

この事件で大事なのは、ハマスを代表するガザ地区とイスラエルの対立ではなく、エジプトとイスラエルの安全保障です。エジプト領を介して侵入できた、というぐらい、シナイ半島の国境地域はエジプト側の警備が手薄になっているということです。

その前にすでに数か月前から、シナイ半島にある、イスラエルに供給する天然ガスのパイプラインがテロリストによって爆破されたニュースが入ってきていました。(参照:「シナイ半島ガス・パイプライン爆破の不気味」)

そして今回のエイラット・テロ事件において、テロリストとの戦闘の中でイスラエル軍がエジプト軍人を射殺してしまったことで、エジプトで大規模なデモが発生しました。(後日、イスラエルは謝罪しています。)在エジプトのイスラエル大使館の国旗を引きずりおろし、エジプト国旗に替え、それをある知事が称賛するという愚直なことを行なっています。

その中で活躍しているのがムスリム同胞団です。彼らは穏健的な政治手法を取っていますが、信条としてはイスラム原理主義であり、エジプト国内のイスラム化を急がせています。(参照:「エジプト・ムスリム同胞団の暴挙」 「シナイ半島がイスラム国家になる危険」)

リビアのカダフィ失墜、そしてシリアの政権崩壊間近など、いわゆる“アラブの民主化”は進んでいますが、それはバラ色どころか、さらなる混迷をもたらすかもしれない可能性を多分に含んでいます。

ところで、教会のある姉妹が、「エイラットのテロ事件がイスラエル軍のガザ攻撃の発端なのに、後者だけが日本では報道されていますね。」と指摘してくださいました。そうです、相変わらず「話の途中」からしか報道せず、一般の日本人は「イスラエルによる攻撃」という印象だけが残されています。

今回の記事を書くのに参考になったアラブ情勢サイトをここにご紹介します。

中東TODAY
中東の窓 

あとついでに、イスラエル情勢ニュースは、おなじみの「シオンとの架け橋」、そしてイスラエル・ユダヤ全般の情報はミルトス社長のブログも参考になります。

「六日戦争」は1967年6月5-10日 その2

日々、入ってくる中東情勢ニュースのために、また私たちが生きている時代を知るためには、どうしても複雑極まりない中東事情を知る努力が必要です。1948年のイスラエル建国に伴う独立戦争、そしてエルサレム主権がイスラエルに移った1967年の六日戦争の把握は非常に重要です。

以下のサイトがおすすめです。

イスラエルの歴史 - 現代イスラエル(ミルトス)

第三次中東戦争(ウィキペディア)

五分でわかる戦史 第三次中東戦争

そして英文の分かる方は、ぜひ次の本をお読みください。

Six Days of War by Michael Oren

本書について、すでにブログ記事を書いています。
Six Days of War(戦争の六日間)」

六日戦争という非常に重要な出来事を包括的に説明している本が、なぜか和書あるいは邦訳本で実に少ないです。お奨めする本としては、「エルサレムに朝日が昇る」ウジ・ナルキス著「中東戦争全史」山崎雅弘著「イスラエル全史」マーチン・ギルバート等があります。

けれども、この第一流の六日戦争史であるSix Days of Warを紹介したく、Amazon.comにある書評を意訳してみました。(dougrhon “dougrhon”という人のレビューが原文です。)

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1967年6月の出来事は詳細に記述されてきたが、六日戦争そのものの記録のみならず、それに至る要因を記録したものは無かった。マイケル・オレン氏は、この紛争のすべての側面を包括的に回想している。

オレン氏は、この歴史を軍事・外交・政治・文化面で描き、公文書、公的報道、回顧録、まだ生存している当人たちへのインタビューなど、徹底的な調査を通して、イスラエル人からの見方のみならず、エジプト人、シリア人、ヨルダン人、そしてアメリカとソ連からの見地から、主要人物の役割を詳細に説明している。

オレン氏は、ナセルの一連の誤算が、彼が意図したよりも数年早まってエジプトを戦争に引き込んだことを描いている。シリアの好戦姿勢、また、パレスチナ・テロリストがイスラエル北部への襲撃したことを支持、また情緒不安定なアメル将軍に突かれたことが相まって、ナセルは国連を非武装地帯になっていたシナイ半島から追い出し、イスラエル船のチラン海峡封鎖を違法に行ない、事実上の宣戦布告を行った。オレン氏がはっきりと示しているように、エジプトとの戦争は、海峡が閉じられた瞬間に決定的なものとなったのだ。いかなる主権国も、航行の封鎖は座視することはできない。

さらに、イスラエルの政治指導者が、米国とソ連に対して、エジプトの挑発に対応する適切な軍事行動の許可を求める苦闘も記録している。エジプトによる明らかな戦争行為にも関わらず、時のジョンソン政権は、ベトナム戦争によって足枷をはめられており、またソ連との対立を恐れ、イスラエルに抑制を求めた。米国を疎遠にすることなく先制攻撃をどのように決定すればよいか、エシュコル首相とイスラエル政府の苦悩も描いている。あの有名な、アッバ・エバン外相とジョンソン大統領の会合にて、ジョンソン大統領は事実、第一撃を受けるよう促したのだ。あの忌まわしきシャルル・ド・ゴールが、あからさまにそれ要求したのだ。イスラエルの軍事ドクトリンによれば、敵の空軍を先制破壊することが必要だった。この緊張によって、ラビンは一時的に神経衰弱に陥り、エシュコルの寿命も何年か縮めたことだろう。

イスラエルはエジプト空軍に対する電撃攻撃を開始するや、続けてヨルダンが引き込まれ、それからシリアとイスラエルの軍事目標がしきりに変わっていく軌跡になっていく。事実、イスラエルは、直接、実際に迫っていた脅威を除去するという事以外に、特定の政治的目標は有していなかったのだ。イスラエルは、西岸に対して何ら具体的な計画を持っておらず、エルサレム旧市街でさえそうであった。皮肉にも、エルサレム旧市街を制圧する決定は、最後の最後まで、既に西岸がイスラエルの手に渡った後でさえ下されていなかったのだ。

アラブ側から、この戦争がなぜ災厄へと変わったのかも描いている。エジプト軍は、統一した司令系統の装いさえもきちんと取っていなかった。ナセルの将校らは、真実を彼に語るのを恐れていた。軍が全面撤退している時に、空軍が破壊した残骸が横たわっている時に、エジプトは、テルアビブに進軍しているという、実に浅ましいプロパガンダを流した。その間、フセイン(ヨルダン国王)は、ナセルとシリアの急進派に恐れをなし、エルサレムでイスラエルを攻撃するという罠に陥ったのだ。

さらに面白いのは、政治的・外交的配慮が、軍事戦略に影響を及ぼし、イスラエル側の被害を増加させたことである。例えば、エシュコルは、ゴラン高原を奪取する決定をあまりにも長く引き伸ばしたので、IDF(イスラエル国防軍)が、火砲砲撃、空爆、夜間攻撃などの適切な予防的措置を取ることができなかった。その代わりに、勇敢なIDFの兵士らが、殺人的なシリア軍の砲火の中に進んでいったのだ。エルサレム作戦においても、同じであった。

とどのつまり、本書の価値は、この戦争の文脈を提示したことにある。歴史修正主義者らは、イスラエルのゴラン高原と西岸の征服は必要ではなかったと言う。オレン氏は、エルサレムの場合を除き、イスラエルの攻勢はイスラエルの領土拡大が目的ではなく、純粋に地政学・外交的目的であったことを示している。一度、戦うことを強いられたら、イスラエルは、1948年の防衛不可能な休戦ラインに留まることを強いられないように決意した。イスラエルの戦争における基本的な目的は、敵側の攻勢能力を排除し、相手を交渉の席に着かせることであったことは疑いがない。不幸にも、その時のアラブの政権が平和的解決を不可能にさせ、さらなる流血をもたらしたのだ。

オレン氏は、エジプトとシリアの全体主義的政体と、イスラエルの耳障りな民主制を対比させている。イスラエルでは、あの有名な「穴(地下室)」にて、基本的戦略の決定が総意の下で採用された。将軍は、エシュコルの(ソ連とアメリカを敵に回すことへの恐れから生まれた)抑制に失望し、あからさまに嫌悪感を表したにも関わらず、一度たりとも首相の命令を軽視することはなかった。真の民主主義の特徴は、軍部が文民の司令に従属することである。これに対しナセルは、絶えず軍事クーデターを恐れていた。

オレン氏の私情を入れない分析によって、このドラマに出てくる主演者の肯定的・消極的役割を明らかにした。機知に富むモーシェ・ダヤンは、一般的に良く評価されるようには出てこない。彼の不可解な気質は、1973年(ヨム・キプール戦争)でイスラエルを危険に晒した。エシュコルはその責任が全く追及されていない。事実、全貌が明らかにされたら、無数の競合する懸案事項を取り組むのに相応しいイスラエルの指導者は、彼以外には見つけるのが難しいだろう。ナセルは、悪者というよりも、惑わされ、打ちのめされた者として出てくる。フセインは、自分で制御できない勢力の被害者のようだ。本書は、まさに「第一級作品」になる運命を持っている。「おお!エルサレム」が独立戦争の名作であれば、本書は六日戦争の名作だ。イスラエル史に興味をお持ちの方は、これは必須図書である。
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「六日戦争」は1967年6月5-10日 その1

今日は、土曜日と日曜日の説教の準備をしていました。それで、合間に息抜きをしている時にふと、「そういえば、6月5日から10日までは、1967年の六日戦争ではなかったか。」と思い出しました。

今のイスラエルと周辺状況を報告します。先日、オバマ大統領がイ・パ和平交渉として「67年への境界線まで」と話して、ネタニヤフ首相が拒否した話をしました。(「イスラエルが67年の境界線から撤退できない訳」「ネタニヤフ首相の米議会演説」)これは、もちろんオバマ大統領がビン・ラディン殺害の成功の勢いとして、それを中東安定につながったのだから・・・という思惑で行っていました(ハーベストタイム)。

そして、中東全域で起こっているデモとその鎮圧があります(産経記事・解説)。シリアでは、自政府から目をそらさせるために、この6月5日に政府は、一人につき千ドルを与え、数百人のパレスチナ人をゴラン高原でイスラエル領に侵入させ、デモ隊とイスラエル国防軍が衝突しました(debka)。

シリアはレバノンの保護者であり、そしてそのさらなる保護者にはイランがいます。イランは、シリアに対してさらなる「デモ」による挑発をするよう圧力をかけています(WND)。そのイランが、二か月で核保有できるとの不穏なニュースも入っています(ynet news)。

そして、アフマディネジャドは、第12イマーム(イスラムシーア派版メシヤの到来を、これまで以上に声を上げています(pajamasmedia)。以前もお話ししたように、核開発と彼の狂信は一体になっています。

(ちなみにシリアは、既にイスラエルが原子炉を空爆したことによって、北朝鮮が協力した核開発は頓挫していますが、IAEAがその計画の可能性が大であると明らかにしました(産経記事)。

さらにイランは、紅海に潜水艦を派遣しました(ラジオイラン)。

そして、目をパレスチナ自治政府に移しますと、こともあろうに2000年の第二次インティファーダ(民衆蜂起?)のように、ファタハがシリア、レバノン国境、ガザ地区で起こった蜂起を利用してその規模を拡大させようと画策しています(WND)。

(私が2000年に、このインティファーダのことを書きました時(「きよきよの部屋」)、当時は掲示板を持っていたのですが、板に荒らし投稿が続きました。何かちょうど、イラク反戦や今の反原発の雰囲気と似ていまして、「平和」「不正義」と唱える人々がむしろ攻撃的であり陰湿でした。けれども、ハマス創始者の息子のモサブ氏が明かしているように、パレスチナ指導部で意図的に作り出されたものであることが確認されています。)

これが、六日戦争の記念日を起点にした中東情勢です。詩篇83篇をお読みください。ここには4-5節を引用します。

彼らは言っています。「さあ、彼らの国を消し去って、イスラエルの名がもはや覚えられないようにしよう。」彼らは心を一つにして悪だくみをし、あなたに逆らって、契約を結んでいます。