イラクの無政府化

イラクがサダム政権陥落後、最も大きな試練を迎えています。イスラム過激武装集団である、ISIS(「イラクとシャームのイスラーム国」)がイラク第二の都市モースルを攻略し、首都バグダッドに向かっているそうです。

イラク武装勢力、首都バグダッドに迫る 米軍空爆の可能性も

危機的混乱のイラク 2014.6.13

iraq-isisfighterもう一度おさらいすると、中東情勢において知らなければいけない存在は、イスラム過激主義です。アラブ人だからといって宗教的な訳ではありません。世俗派とイスラム復古主義との対立は激しいです。そしてイスラム復古主義の中でも、サウジのような王権を保持するところと、王政も破壊しイスラム法による統治を行う勢力との確執も大きく、見極めが必要です。

ですから、エジプトで起こった反クーデターは、世俗的な軍部と、イスラム原理主義を標榜するムスリム同胞団の対立であり、シリアの内戦は、世俗的なアサド政権に対抗する反乱軍の中に、こうしたイスラム過激主義が入り込んで勢力を伸ばしているというのが現状です。

イスラエルが戦っているのは、こうした過激派です。レバノンでは、シーア派のヒズボラからのミサイル、ガザ地区ではスンニ派のハマスがいます。そしてその背後には、イスラム法による統治を行なうイランの支援があります。

今回の過激武装組織はアルカイーダ系であり、国境を超えたネットワークを持っています。 続きを読む イラクの無政府化