中東の超大国が米から露になった瞬間

シルバートランペットから:

2016年の年末、最後から最後まで世界に目が離せません。

ついに、シリア内戦の停戦がまとまりました。そして、ロシアまたトルコ主導によってです。そしてシリアのアサド政権がそこに残ることで決まりました。

ロシア、シリア停戦合意を発表 和平協議入りも(CNN.co.jpから)

ここに、大きな世界勢力の転換を見ました。オバマ政権による米国の無能、現実を見ることのできない愚かさの中で、着実に、ロシアがトルコ、そして同じくシリア国内で戦っていたイランと共に、イスラエルの隣国シリアの中心大国となったのです。

ちょうど、それはかつて、ユダの王エホヤキムの時にエジプトの勢力支配から、カルケミシュの戦いによって、バビロンに勢力圏が移ったように、です。

イザヤ書17章にあるダマスカスの廃墟、そしてエゼキエル38章のゴグとマゴグ、すなわちロシアを中心とする、トルコやイランなどの同盟がイスラエルを一挙に攻め入るシナリオに、これまでになく接近する中東の絵図が出来上がりました。 続きを読む 中東の超大国が米から露になった瞬間

現場は「二国家」案ではない!

中東にキリスト者が良い関わりができるよう、願う働きが、福音的なキリスト者によって運営されているサイトがあり、フィロス・プロジェクト(Philos Project)と言います。ここには中東出身のキリスト者たちも寄稿や編集に関わり、そして何よりも福音的立場をしっかり貫いていることです。中東には、聖書信仰の中心でありイスラエルがあり、それを認め、信仰のユダヤ的ルーツを認めるところに立っています。かつて、「「パレスチナ人クリスチャン」の異論と希望の証し」で紹介した記事も、このサイトから引用しているものです。

そして改めて、国連における米・イスラエルの結末を、九つの項目に要約して、何が起こったのかを説明しているものが、秀逸です。これまで書いてきたものの他に、「現場にいるパレスチナ人の実感」というものを、明瞭に言い表しているところが特筆に値します。私が注目した文言は、太字や色を付けたいと思います。


9 Things You Need to Know about the U.S.-Israel Fallout at the United Nations

1.決議2334号は、イスラエルが即座に、完全に、占領しているパレスチナ領土から、全ての入植活動を停止させることを要求しています。それが、クリスマスとハヌカの前日に提出されました。国連安保理は、国際法で最も力のある組織であり、米国は反イスラエルの決議案には拒否権を行使していました。しかし今回は棄権であり、結果としてイスラエルの行動は平和への罪を犯していると世界から断じられたことになります。 続きを読む 現場は「二国家」案ではない!

オバマ氏のイスラエル軽蔑

(前記事「国連安保理、イスラエル非難決議を採択 米国棄権」①~⑤からの続き)

Obama Despises Israel Because He Despises the West

八年間のオバマ政権が終わりに近づき、その最後の偉業を米国の対イスラエル外交を根底からぶち壊すようなことをしました。次に、正統派ユダヤ教徒でコラムニストである、ベン・シャピロ氏による記事を紹介します。

「オバマ大統領が、なぜイスラエルを軽蔑しているのか?西洋を軽蔑しているから」という題名の記事です。お見事な指摘であり、私がずっと気になっていた内容でした。オバマ氏はまさに、イラク戦争以後の世界の考え方、特にキリスト界の潮流を象徴しているかのような人でした。彼の根っこの信念には、「宗教左派」というものがあります。いわゆる、リベラルなキリスト教です。

イスラエルに対して、実は今、アラブ諸国との関係は悪くなっていませんでした。
トランプ次期大統領が、あれだけの過激発言をしたにも関わらず、中東諸国はトランプ氏よりも、オバマ氏のほうに不満が溜まっていました。それは、彼は中東政策についていろいろ語り、異常なほど接近するけれども、実際は、全く不関与の態度を取り続けたからです。 続きを読む オバマ氏のイスラエル軽蔑

国連安保理、イスラエル非難決議を採択 米国棄権 ⑤

シルバートランペットから

PLOの指導者の一人が、今回の国連安保理の決議について、CNNのインタビューに答えています。パレスチナ政府の立場と言ってもよいです。先に私が先に話しました、「彼らの主張していることは、イスラエルの置き換え、借り物だ。」ということをよく表しています。 続きを読む 国連安保理、イスラエル非難決議を採択 米国棄権 ⑤

国連安保理、イスラエル非難決議を採択 米国棄権 ④

シルバートランペットから

Dear Secretary Kerry

こちらは、AJC(Global Jewish Advocacy)の代表、デービッド・ハリス氏による寄稿です。ケリー国務長官と個人的にも何度も会っているようであり、彼のスピーチが心からのものであることを同情している一方で、現実離れしていることを指摘しています。ケリー氏の指摘は、非軍事化された、民主的なパレスチナ国家ということであれば、可能なのです。けれども、無理な理由が主に二つあります。

①他の周辺アラブ諸国で起こったアラブの春の結末の、後追いをするのではないか?

パレスチナ代表のアッバス議長は、80歳代です。後継者は定めていません。既に西岸で権力闘争が起こっています。ガザ地区はハマスが掌握しましたが、これを機に西岸で力を持つことは十分にあり得ます。自治区が不安定になれば、イスラエルだけでなく、ヨルダンにも直接影響します(PLOがヨルダン国内の中に国を造ろうとして、フセイン国王が内戦を開始した「黒い九月」は有名)。

イスラエル人は大方、二国家案に賛成しています。けれども、同時に今の中東が大暴風が吹いており、相手側のパレスチナがイスラエル破滅を目標とする政体へとなるのではないか?という不安があります。平和を望むけれども、こうした深い懸念は十分に正当化できるものです。

②イスラエルの右傾化は、2000年以降から発展した衝突の蓄積の結果である。 続きを読む 国連安保理、イスラエル非難決議を採択 米国棄権 ④

国連安保理、イスラエル非難決議を採択 米国棄権 ③

シルバートランペットから

昨日は、夜更かしに加えて、ジョン・ケリー米国務長官の、国連安保理2334号の米国の棄権についての説明を、ライブで聞いてしまいました。そして、ネタニヤフ首相のジョン・ケリー氏の説明に対するコメントを聞きました。

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国連安保理、イスラエル非難決議を採択 米国棄権 ②

フェイスブックから

・・私たちがイスラエルに関わるニュースを見る時、そして聖書を信じる者として見る時に、ぜひ知っていただきたいのは、イスラエルとパレスチナ、またその周辺との関係は、一面のニュース記事では決して語ることのできない、複雑な歴史を持っていることです。全ての歴史について言えますが、「誰が正しい」かという視点ではなく、「理解して、感じる。特に痛みを感じる。」という視点です。

まずもって、イスラエルの建国と直後の「独立戦争」を知らないと何も分かりません。世界に離散していたユダヤ人がどのようにして、どうして、約束の地に帰還することを願い、そうしたのか?そしてどのように建国、独立できたのか?それから、そこに住むアラブ人、また周囲のアラブ諸国との関係は?そして、米国政府の中にある国務省と大統領府の熾烈な政治戦。ここら辺を、生の人間を描くことによって、その悲しみと痛みと嘆きを見事に描き出しているのが次のノンフィクションの小説です。

「おおエルサレム!」

次に、知らないといけないのは1967年の「六日戦争」です。この戦争によって、トランス・ヨルダンによって占拠されていた東エルサレム、また西岸地域(ユダヤ・サマリヤ地方)をイスラエルが奪還しました。しかし、そこに関わる役者を全て、内在的に調べ、見事にその心の動きまでを描き出しているのが、次の書物です。 続きを読む 国連安保理、イスラエル非難決議を採択 米国棄権 ②

国連安保理、イスラエル非難決議を採択 米国棄権 ①

年末に起こっている騒動を報告します。

国連安保理:反イスラエル決議を採択(オリーブの便りから)

Amir Tsarfati氏 中東アップデート 2016年12月23日 国連安保理議決、オバマ拒否権使わず(DIVINE USから)

Amir Tsarfati氏 中東アップデート 2016年12月27日 オバマの復讐第2弾(DIVINE USから)

Amir Tsarfati氏 中東アップデート 2016年12月28日 ジョン・ケリー演説

シルバートランペット Silver Trumpets

今年二月の聖地旅行の参加者の一人であった兄弟が、「音楽」と「世界・国内情勢」という二つの分野で、キリスト者ではない人々、一般の人々向けに、注意喚起の声として、聖書にある「銀のラッパ」として情報発信するFacebookページを立ち上げています。私は、世界や国内のニュース関連の発信でお手伝いさせていただいています(ニュース発信はその兄弟と私の二人によるものです)。ブログでは、情報発信の頻度が少なくなっていますが、こちらのサイトで確認していただければ幸いです。(下の画面をクリック)

音楽のほうは、ユーチューブで話題になっているゴスペル・シンガーの、出立堅太さんです。ウェブサイトもあります。

SILVER trumpets

「ドラマ 東京裁判」から学ぶ

今、東京裁判の四回連続NHKドラマを見ています。11か国からの判事の舞台裏を、生々しく描いていて、重い気持ちにもなりますが、非常に勉強になります。

「ドラマ 東京裁判」

そもそも「戦争を人が裁けるのか」という根源的な問いがテーマでありますが、それからは、ずれるのですが、私は11人の判事の、駆け引きとも言える人間模様の生々しさに興味をそそりました。そもそも「複人数の者たちが全く対等に、統一見解を歩調を合わせて出す。」ということ自体に無理があるなあ、と思いました。それぞれが、強い信念と正義感を持っています。そしてその「正義」には温度差があり、それぞれ異なり、意見が全く相反する人たちもいます。しかし、どこかで落としどころ、決着をつけなければ判決ができません。

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