The Third Target(第三の標的)

アメリカから日本に帰る飛行機の中、次の本をずっと読んでいました。

The Third Target(出版社のサイト)

イスラム国がシリアで残されていた化学兵器サリンを入手、「第三の標的」をここで行なうと、イスラム国の指導者が語る「その国」とはどこか?これが意外や意外、(いや、本当は意外ではないが)種明かしをすると「ヨルダン」です。

これは、フィクション小説なのですが、ジョエル氏のこれまで出したフィクションはすべて、後でノンフィクションになってしまいました。(氏の著作リスト)イスラム国の台頭も、台頭する数か月前にこの本を書き記していたので、ドンピシャなのです。そういった視点で読むと、ヨルダン国王の政権を転覆させて、シリア、イラクに続けてヨルダンを倒し、そしてイスラエルに近づいて征服する、というシナリオはものすごく怖いほど、現実味を増しています。

そして本書の中に、ヨルダンに対する聖書預言を出しています。アモン(北部と中部)、モアブ(中部)、そしてエドム(南部)は、エレミヤ書等、すべてに荒廃が定められている裁きを受けます。中東和平のフィクサーであるヨルダン国王が除去されるのであれば、これらの預言の成就に現実味を増すという視点から書いたのでしょうが、ゆえにかえって、実際の専門家を越えて先んじて何が起こるかを読み取っています。

The Times of Israelの記事:The Islamic State’s Third Target

フランス新聞社へのテロ

私がアメリカで旅行している時に、この事件のニュースを耳にしました。折しも、宣教会議で食事の同じテーブルに、フランスのカルバリーチャペルの牧師さんと一緒にいた時に、その話を聞きました。映像を見ていないため、あまり実感を持てずにいたのですが、これは大きな意味を持つ事件であることがじわじわと分かってきました。四つの論点があると思います。

①イスラム教テロの拡がり

イスラム国の台頭においては組織のある実体を伴っていますが、今の動きは、組織を超えた思想によって個別に起こるテロが頻繁に起こっています。予てから当ブログで話していますが、テロリズムに闘うのは警察力や武力以上に、また経済的状況や教育以上に、「思想」や「価値観」によるものであり心の中の問題だということです。参考になる記事をご紹介します。

専制独裁主義の価値観と民主主義のそれとの戦争=フランス銃撃テロ事件(ミルトス社社長、河合一充氏)
「フランスの新聞社銃撃テロ事件の本質は何か。一般には、「言論の自由」への挑戦だと受け止められている。しかし、イスラエルの識者はそうではないという。「イスラム過激主義の価値観」と「西洋の民主主義、人道主義の価値観」との戦争だ。どちらかが勝つまで続くことを覚悟しなければならない、と。この見方はまだ、ヨーロッパ人に受け入れられていないが、イスラエル人ははっきりと見抜いている。」

イスラム過激テロは 人事でないヨーロッパ 日本も(同上の氏)
「日本では、フランスのテロ襲撃事件をどのように感じているのだろうか。対岸の火事ではなかろうか。イスラエルの指導者は、90年代からパレスチナ過激派(ハマスなど、イスラム原理主義)との戦いの最中、世界に警告していた。『イスラエルで起きていることはやがて、世界に広がるぞ。何も、イスラエル内だけに限定されるわけではない!』それを現実に実感しているのが、ヨーロッパ人であろう。ヨーロッパのメディアを見ていると、イスラム国、アルカイダなどの危険を訴え、新たな脅威の時代を意識しだしている。おそらく9・11の時にも、あれはアメリカで起きたこと、ヨーロッパは関係ない・・とは言わないまでも、どこか人事だったかもしれない。しかし、今やイスラム原理主義や過激派の恐ろしさが身近に迫っている認識にある。日本にもこのテロ戦争がやって来ないとは、絶対に保証できない。そのことを認識すべきだ。」 続きを読む フランス新聞社へのテロ

「イスラーム国の衝撃」(予告)

年始は、イスラム国についての新書がわんさか出て来ている感じです。これまで雑誌や新聞記事であってものが、体系的になったものとして出てきます。私は兼ねてから信頼できる、イスラム学者として池内恵(さとし)東京大学准教授の著作を追っていました。イスラム国についての解説も情報が溢れていますが、これから「イスラーム国の衝撃」という題名で、著書が出ます。オーソドックスな書物で基礎知識を付けて、それからニュースを追うのが良いかと思います。

イスラーム国の衝撃思い立ったら新書−−–−1月20日に『イスラーム国の衝撃』が文藝春秋から刊行されます

私の中東情勢やイスラムの動きについての主な情報源は英文のもので、イスラエルと周辺の中東発のものが大半です。またアメリカからのものもあります。それと池内氏の発信しているものに違和感がありません。けれども、欧米かぶれしている訳ではなく、実際の第一資料に当たって、自分で思考している姿を見ることができ、日本人としての主体性や、当事者としての意識も感じます。

「イスラム国」を理解する鍵

もちろん、キリスト者としてはさらに、霊的な判断、聖書的な見地を加えないといけません。私はイスラム国は、クリスチャンに分かり易く話すなら、「イスラム版の神の国」であるとみなしています。どの主権国家からも認知されない、アッラーから直接でてきた異次元の「国」であり、それは内的世界だけでなく、行政も機能する「可視的な国」となっています。キリスト者にとって御国は霊的なものであると同時に、将来、キリストの到来によって可視化されるものであるのと同じです。 続きを読む 「イスラーム国の衝撃」(予告)

2015年カルバリーチャペル宣教会議

遅くなりましたが、新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。私たちは、1月4‐15日のアメリカへの旅を無事に終えて帰ってきました。霊的に充電されました。毎年恒例の新年のアメリカ、カリフォルニア帰りですが、今年は今までになく、特に交わりが祝福されました。いつも、主に三つのことをしてきます。

① カルバリーチャペル宣教会議(Missions Confenrece)1月5‐9日
2015 Missions Conference
今年のテーマは「良い、忠実なしもべだ」という、イエス様の言葉であります。カルバリーチャペルの宣教の働きは、他の教団や教派に比べれば(その歴史もまだ四十年そこそこですから仕方がないのですが)短いです。そのような新興の教会群が海外で行ってきた働きは、必ずしも大きな教会が建て上げられたという訳ではありません。しかし、忠実に、堅実な教会に土台を敷いてきたという意味では、確実に世界中に拡がっています。その中で、数に囚われないこと、堅実に、着実に、そして忠実に御言葉を教え、人々を愛して、結果は主に任せることを、それぞれのスピーカーが強調していました。下のサイトで、賛美も含めた集会の様子を観ることができます。

2015 Missions Conference

すべてのスピーカーが良かったですが、その中で大きな感動を受けたのは、中国のマカオでカルバリーチャペルをしているラスティーさんです。マカオに来てから35年、教会を始めてから25年という、「忠実」という言葉を重みをもって語っていました。 続きを読む 2015年カルバリーチャペル宣教会議